2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigating the international "Otaku" (Geek) phenomenon: Fandom, self-discourse, and happiness of subculture
Project/Area Number |
21K13434
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
中尾 元 追手門学院大学, 経営学部, 講師 (70846485)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サブカルチャー / 社会構築主義 / 逸脱論 / 中心・周縁 / 自己言説 / サブジェクト・ポジション / 幸福感 |
Outline of Annual Research Achievements |
「オタクさ」の言説や自己意識に関して、研究実績の概要の第一は、アイデンティティに関する理論的な検討であった。今後更なる検討が可能な視座として、Film study (映画学)におけるpositioning theoryというものがあった。アイデンティティという用語よりも、より相互構成の観点を強調する意味で、subject position といった用語での検討が近年なされていることが明らかとなった。第二は、テーマに関した具体的な現れとして、サブカルチャーの拠点に関するフィールドワークを行った。オンラインでの聞き取りや問い合わせも含め、東京・秋葉原や大阪・日本橋などのサブカルの拠点地のフィールド調査や、Fan Expoといった国際的なファンの集まりのフィールド調査を行うことができた。この調査を通して、人々が親近感を抱いた形で参加をする「居場所」の検討を行った。とりわけ、Discordなどのオンライン上のプラットフォームでの人々の関わりを検討することを通し、近年言われるaffinity space (「親近感を持つ空間・場所」の意味)という概念について、サブカルのファンの居場所論や場所への愛着、そして何らかの媒介物(ポータル)を持ったうえでの場所への参加について、検討を行った。この「親近感を持つ空間・場所」を意味するaffinity spaceという概念を軸に、社会的包摂(social inclusion)の観点からみる、コスプレや他者性、異文化性への受容や、唯一性(固有性)の観点からみる、「その場所・土地にいかないとそのイベントや人々に会えない」という観点について考察を進めることができた。同様に、「ポータル」といった、人々が参加する際の「媒介物」(物質的なものの場合もあるし、象徴的なものの場合もある)を持ち寄った形で参加するという観点も重要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールド調査や、一部オンラインでの方法を交えた聞き取り調査等を行うことができたため、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Covid-19の影響により開催が延期されていた国内外のコミコン(comic convention)等でのフィールドワークや聞き取り調査を更に推進し、同時に可能な限りオンラインでの質問紙調査を行う。
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Causes of Carryover |
一部のフィールドワークに関連した調査の実施が未実施であったため、研究費が持ち越しとなった。2023年度は、持ち越しとなったフィールドワークやオンラインを含めた質問紙調査を実施し、旅費も含め必要な研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)