2023 Fiscal Year Annual Research Report
Sociological Inquiry on the Cancellation of the Project Camelot and its Impacts on Sociological Theories
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21K13442
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河村 賢 大阪大学, 社会技術共創研究センター, 特任助教(常勤) (20802846)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テロリズム研究 / 冷戦 / 社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はここまで行った研究の成果を発表し、国内外の研究者との連携をより強めていくことを試みた。前年度から継続していたKAISTのScott Knowles氏との共同研究から、アメリカと東アジアにおける冷戦構造が戦争や災禍の記憶のあり方に及ぼす影響について議論するディザスター・ハッギョ2023 Act 3という国際ワークショップを開催し、アメリカ、イギリス、韓国、日本の研究者たちと、冷戦構造が社会学を含めた冷戦期の人間科学の実践をどのようにして規定したのかを議論することができた。2023年8月の開催期間中2回の研究ワークショップを開催しただけでなく、福島と広島の災禍の現場を訪れるリサーチビジットも行い、今後の共同研究の方向性についても議論した。
またテロリズム研究とCold War Rationalityという視座からの研究については、前年度までに収集した資料に基づいて、キャメロット計画の中止の余波を受けてアメリカ政府からの受託研究が盛んになったとされる1970年代以降のRAND研究所のテロリズム研究の議論を分析し、これまでCold War Rationalityをめぐる科学史研究で指摘されてきたような「行為そのものの意味を問わずに帰結から得られる利益を最大化する」という行為者像をテロリストに投射することで、そうしたテロリストの振る舞いを予測するという研究潮流がそこで生まれたことを明らかにした。こうした研究の成果について、2023年11月にハワイで開催されたSociety for Social Studies of Scienceにて口頭発表を行った。
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