2021 Fiscal Year Research-status Report
通所介護サービス利用実態と在宅医療処置の関連:全国の介護保険データを用いた検証
Project/Area Number |
21K13459
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植嶋 大晃 京都大学, 医学部附属病院, 特定助教 (70771963)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 通所介護サービス / 匿名介護情報等 / 介護保険レセプト情報 / 要介護認定調査情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦において日常生活に介護を要する高齢者 (以下,要介護高齢者) は、介護保険制度により様々なサービスを一定の自己負担額で利用するこ とができる。その中でも通所介護サービスは、要介護高齢者の機能維持や社会参加だけでなく、介護者の負担軽減にも資することが期待されており、適用のある者に均質に提供されることが望ましい。 しかしながら、胃ろう等の医療処置を受けて自宅で生活する高齢者が通所介護サービスの利用を希望する場合、他の利用者とは異なる対応が必要であることから通所介護サービスの利用に至らない可能性がある。 またその実態に地域差があることも考えられるが、これらは定量的に明らかにされていない。 本研究の目的は、自宅で生活する要介護高齢者の医療処置の有無により、通所介護サービスの利用状況に差異があるかどうかを明らかにするこ とである。本邦では「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続ける」ことを目的とした「地域包括ケアシステム」の構築が進められている。本研究で介護保険サービス提供の定量的な実態を示すことは、地域包括ケアシステム構築において重要であり、国や地方自治体における政策立案にも貢献しうるものである。 本研究では、介護保険総合データベース (以下、介護DB) における介護レセプトデータと介護認定調査データを用いて、自宅で生活 する要介護高齢者の通所介護サービスの利用状況と医療処置の有無の関連、およびその地域差を検証する。2021年度は関連研究を始めとした情報収集を行うとともに、介護DBの利用申請を行った。また、データ提供後に実施する分析に向けた環境構築を始めとする予備的検討についても実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、まず介護保険総合データベース (以下、介護DB) の利用申請に着手し、申請に必要な書類を2021年10月に厚生労働省に提出した。介護DBの申請は厚生労働省の専門委員会における審査を経て、2022年1月7日に利用の承諾が得られ、現在は厚生労働省からデータが提供されるのを待っている状況である。また、関連研究を始めとした情報収集や、データ提供後の分析に向けた分析環境についての検討も行った。 上記のプロセスのうち、介護DBの申請に必要な書類の作成と、作成した書類に対する窓口担当者の指摘への対応に当初の想定以上の時間を要したが、スケジュールは概ね予定通りであることから、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
介護DBの申請は完了し、厚生労働省の承諾も得られた。他方、利用を承諾されたデータが提供されるまでに一定の期間が必要とされており、データが研究者の手元に届くまでには相応の期間を要することが見込まれる。従って、2022年度もデータが提供されるまでは、2021年度と同様に分析環境の構築と、文献調査や分析の予備的検討を行う。 データが提供されたら分析に着手するが、介護DBは介護保険給付費の請求や要介護認定といった業務を目的とした大規模データであり、研究利用に適した形式にはなっていない。従って、本格的な分析を行う前段階として、提供を受けたデータを分析端末に格納して利用可能な状態とし、さらに格納したデータを分析可能なデータセットに成形する作業が必要となる。2022年度はデータが届き次第この準備作業に着手する。なお、データ提供の時期が遅くなった場合は、この準備作業を2023年度も継続して行う必要が生じる可能性も考えられる。 上記の準備を踏まえ、本格的な分析は2023年度以降に実施する予定である。2023年度と2024年度は分析を進めると共に、得られた結果について考察し、成果として整理する。成果については順次、学会発表や学術論文として公表する。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、2021年度に分析用のパソコンを購入する想定で物品費を計上していた。しかしながら、提供される予定のデータを踏まえ、分析環境について引き続き検討を行う必要が生じたことから、2021年度には分析用のパソコンを購入しなかった。厚生労働省に申請を行ったデータの受領は2022年度を予定しているため、現時点で研究計画に支障は生じていない。また、2021年度に参加した学会について、当初は旅費を計上していたが、学会がリモート開催となったため使用しなかった。 今後の使用計画については、2022年度中に分析用のパソコンを購入する予定としている。
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