2021 Fiscal Year Research-status Report
当事者の経験が反抑圧ソーシャルワークの推進に与える示唆:在日朝鮮人女性を例として
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21K13462
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
宮崎 理 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (50770020)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / 在日朝鮮人女性 / 反抑圧ソーシャルワーク / 交差性 / インターセクショナリティ / ポストコロニアル・フェミニスト・ソーシャルワーク / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、反抑圧ソーシャルワークの理論的特徴を明確化するとともに、日本のソーシャルワークで応用可能な知見を得ることを目指した。そのために、反抑圧ソーシャルワーク研究の著作やその理論的背景となった社会学やフェミズムなどの諸理論に関する国内外の文献を幅広く収集し、精査を進めた。 それらを通じて、本研究の鍵概念である「交差性(intersectionality)」概念の特徴を明らかにし、ソーシャルワークにおいて抑圧を交差的なものとして捉える視座としての応用可能性を見出しつつある。 なお、2021年度は、本研究で焦点を当てている在日朝鮮人女性に対する抑圧と関連付けて、「交差性」に関する研究成果を公表することができなかった。しかし、「性の多様性とソーシャルワーク」をめぐるテーマと関連付けて、学会シンポジウムと依頼論文の形で研究成果を公表する機会を得た。それによって、「交差性」概念が対象を限定せずに広く抑圧を問題化する際に応用可能であることを提示することができた。 また、研究を進めるなかで、「ポストコロニアル・フェミニスト・ソーシャルワーク(Postcolonial feminist social work)」の文献を参照し始めた。これは、当初の計画にはなかったことではあるが、フェミニスト・ソーシャルワークに関する国際的な出版プロジェクトに参加するなかで、他国の研究者から助言を受けたことによる。それにより、本研究を国際的なソーシャルワーク研究の文脈に位置付けながら遂行する契機が生まれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、当事者と協働する反抑圧ソーシャルワークの意義と課題を把握するために、先進地であるカナダと、旧植民地に出自を持つ人びとによる豊かな実践が存するイギリスにおいて、フィールドワークと当事者及びソーシャルワーカーに対するインタビュー調査を実施する予定であった。しかし、covid-19拡大の影響が続き、国外への渡航が困難となったために、当初の計画通りに実施することができなかった。 また、2021年4月に勤務する大学を移籍したために、研究環境を再度整えることに時間を要し、当初の計画通りに遂行することが難しくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、日本の代表的な被抑圧集団の一つである在日朝鮮人女性に焦点をあて、交差的な被抑圧経験とそれに抗する活動の経験が持つ意味を明らかにするために、当事者へのインタビュー調査を実施する予定である。 また、2021年度に収集・精査した文献を手がかりに、ソーシャルワークにおける交差性概念の有用性に関する論文、ポストコロニアル・フェミニスト・ソーシャルワークに関する書籍の執筆を進める。 なお、covid-19拡大による影響が見通せないため、日本国外での調査については一旦保留とし、文献調査や場合によってはオンラインによるインタビュー調査を実施することを検討する。
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Causes of Carryover |
今年度、covid-19拡大の影響により国外調査を行うことができなかったために、次年度使用額が生じた。次年度も国外調査を実施できるかどうか見通せない状況であるので、それらの計画については一旦保留とする。 2022年度は、日本の代表的な被抑圧集団の一つである在日朝鮮人女性に焦点をあて、インタビュー調査を実施する予定である。その実施のための旅費・謝礼金・調査で得られたデータの整理等に係る費用として使用する。 引き続き、文献購入費、学会・研究会参加に係る旅費等としても使用する。
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