2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of automation support tools focusing on the occupational dysfunction of people with mental disorders
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21K13468
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
清家 庸佑 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (10827819)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精神障害 / 生活機能 / リハビリテーション / 作業療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,地域生活移行支援の拡充にむけて精神障害者の生活機能の客観的評価と,支援プランの提示までをオー トメーション化した支援ツールを開発することである.R3年度では,①仮支援ツールの作成,②仮支援ツールに基づく支援の実施をおこなった. 【①仮支援ツールの作成】R3年度は,インターネットのクラウドサービスを使用し研究協力者を対象に評価マニュアルと支援ガイドを公開するためのプラットフォームを作成した.なお,評価マニュアルには機会学習機能による推定を行うExametrikaのダウンロード方法,操作方法を記載する.支援ガイドでは生活機能の障害の状態(重症度と障害の種類)に応じた支援プランについて記載を行った.さらに,評価者のパソコン上で機会学習機能によるランク推定を行うための解析用データファイル(ICRP)も公開準備を行った. 【②支援ツールによる支援の実施】全国多施設研究の協力体制を構築した.上記支援ツールに基づいた介入研究では精神障害者15名に対して,前後比較介入研究によってSTODの支援プランに基づいた,支援の有効性について検証している(現在支援継続中).現在の中間分析からは,各尺度の変化では,CAODが総得点[推定値-5.41(95%信用区間 -10.74:-0.12)],下位因子の作業不均衡[-1.87(-3.63:-0.13)],作業周縁化[-2.39(-3.70:-1.11)]で効果を認めた.STODでは総得点[-6.71(-9.32:-4.05)]と下位因子の作業不均衡[-1.89(-2.68:-1.07)],作業疎外[-2.64(-9.32:-4.05)],作業剥奪[-6.71(-9.32:-4.05)],作業周縁化[-6.71(-9.32:-4.05)]で効果を認めた.SF-8では体の痛み[6.72(0.39:12.93)],心の健康[5.06(1.75:8.53)]で効果を認めた.本支援ツールをもとに支援を実施することは,支援早期から生活機能の障害の改善,および健康関連QOLの改善に対して効果があることが示唆されている.今後は支援を継続する中での効果の推移についての検討が必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
介入研究で協力予定施設であったいくつかの施設でCOVID-19感染予防に伴う作業療法の実施制限が大きく生じた.そのために,当初予定していた院外での活動や研究活動の実施が難しくなった施設があり,当初予定していた対象者数を現時点では確保できていない.対象者の追加は,各施設での状況を伺いながら随時開示を図る予定であるとともに,新規施設への依頼を調整している.
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Strategy for Future Research Activity |
仮作成した支援ツールに基づいた支援の効果検証を引き続き行う.介入終了後は,量的研究による効果検証と質的研究による効果検証を予定している. 量的研究では各アウトカムの変化について一般化線形混合モデルを用いたデータ解析を行う.統計モデルの目的変数には介入前後の各評価尺度の得点を用いる.固定効果は,介入前後が 識別できるダミー変数,変量効果は対象者の識別番号,年齢,性別,罹患期間,疾病とする. 評価の実施は支援開始前,開始1ヶ月,3ヶ月,終了時(6ヶ月)とする. 質的研究による効果検証では,支援の主観的効果を明らかにすることを目的に半構造化インタビューを支援者と患者に行う.インタビューでは,患者に生活機能の変化について,生活の充実感の変化について,その他実感している支援前との違いなどについて聞き取りを行う.支援者に対しては,本ツールを使用した実践で有用に感じた点,本ツールを使用する際に配慮したこと,本ツールの改善点などについて聞き取りを行う.分析にはSCATを用いる. 最終的にはインタビューを参考に本支援ツールの内容の見直しをおよびwebシステムの修正を行う.修正完了後,支援ツールはwebシステムで一般公開する.
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Causes of Carryover |
当初,R3年度計画では,本支援の介入効果の検証を行うにあたり,各協力施設での研究遂行のサポートをおこなう予定であった.しかし,感染予防のために実際には多くの施設で対面でのサポートが延期もしくはオンラインでの代替となったため,旅費が未使用になった.一方で,本支援ツールに基づいた支援提供に関する目標合意の面接場面などにおいて,実際に現地同席で行うことを望んでいる施設もあることなどから,今年度実施できなかったサポートやフォローアップを次年度に実施する必要があると考えている。 また,データ整理として謝金を計上していたが,今年度は収集されたデータが少なく,研究代表者自身データ整理を行った.そのため,データ入力などに関連した謝金は未使用となった。以上よりR4年度の使用計画に旅費および謝金を追加する。
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