2021 Fiscal Year Research-status Report
軽度・中等度要介護高齢者の日々のケアへの意向尊重に専門職が抱える困難とその要因
Project/Area Number |
21K13473
|
Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
小松 亜弥音 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (60881894)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 意思決定支援 / 軽度・中等度要介護高齢者 / 多職種 / 在宅ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
2025年を目途に構築が目指されている地域包括ケアシステムにおいて、高齢者本人の意向を尊重した介護の提供は重要かつ不可欠である。しかし、在宅介護に関わる専門職の支援上の困難の1つとして、意向の確認・尊重や意思決定支援に関する困難が挙げられている。本研究では、在宅要介護高齢者の日々のケアに関する意向尊重や意思決定支援において専門職が直面する困難に焦点を絞り、その実態と背景にある要因を明らかにする。そして専門職の困難を軽減し高齢者の意向を尊重したケアの提供に資することを目指す。なお、本研究では軽度~中等度の要介護高齢者の意思決定支援に着目し、将来的には終末期・重度認知症高齢者への意向を尊重したケアの提供に資することを目指す。 2021年度は、在宅要介護高齢者の意向尊重や意思決定支援、および専門職の支援上の困難について、実践的・理論的な状況の把握と整理を行うこととした。具体的には、国内外の文献・論文や報告書等の収集を行い、既存知見の整理を行った。意思決定支援・支援上の困難に関する研究だけでなく、要介護高齢者による意思決定関与や共同意思決定も含め幅広い内容に関する文献を収集し、多角的な視点から検討を試みた。今回、国内外の文献を概観したところ、アドバンスケアプランニングや救急搬送の方針など終末期に関する意思決定についての研究が多くみられ、日々の生活における意思決定に関するものは十分蓄積されてはいない現状にあった。 今年度の文献収集の結果得られた知見は、2年目に実施を予定している量的調査および3年目に実施予定している質的調査の設計・実施の基盤となるものである。今後も継続して文献を収集しさらに内容を深化させ、まずは2年目の調査設計につなげる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた、研究環境の整備及び文献資料等の収集はおおむね順調に進んでいる。意思決定支援は近年注目を集めており、実践報告や調査研究等も増加傾向にあるため、文献資料の収集は2年目以降も引き続き行う。2年目の中心的な課題である量的調査のための分析枠組み等調査設計の準備はやや遅れているため、周囲の助力も得つつ、意識的に取り組み計画通りの遂行となるよう努める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、専門職に対する量的調査(質問紙調査)を2年目後期に実施することを目指す。具体的には、前期において分析枠組み・調査設計の確定、質問紙の作成、所属機関内の倫理審査の手続などを行う。倫理審査で承認が得られ次第、質問紙を郵送する。質問紙回収後は速やかにデータ分析に取り組み、3年目前半には中間的な成果について学会発表を行えるよう努める。なお、この質問紙調査は3年目の質的調査協力者募集の役割も有する。この募集に対する回答傾向も踏まえ3年目の質的調査の調査枠組みの修正も行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては主に以下の3点である。①新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、参加を予定していた学会がオンラインに代替、または中止となった。②効率的な研究遂行のため文献整理を手伝ってもらう研究補助員を雇用予定であったが感染症の影響もあり難しく自力で行った。③取寄せに費用の掛かる文献が想定よりも少なかった。 生じた次年度使用額については、次年度以降も引き続き行う予定の文献図書の購入や、次年度実施予定の質問紙調査の実施及びデータ入力等に係る費用に充当し、研究を効率的に遂行する予定である。
|