2021 Fiscal Year Research-status Report
神経発達症をもつ子の両親システムへの介入研究:マルトリートメントの援助にむけて
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21K13483
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
稲垣 綾子 帝京大学, 文学部, 講師 (70823178)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アタッチメント / 養育システム / 両親 / 青年期 / 家族支援 / 心理教育 / 神経発達症 |
Outline of Annual Research Achievements |
青年期は自分のもつ価値,仲間のもつ価値,親のもつ価値の3つの基準のなかで揺れ動く。さらに,親自身にも価値基準があるため,衝突や葛藤が起きやすい。この価値基準をめぐる葛藤への対応をアタッチメントの観点から考えると,子ども自身が安全に,安心して世界を広げ,探索していくための親の役割や羅針盤を得ていくことができる(Morretti & Holland, 2004)。また,青年の自律と成人期への移行は親との安定アタッチメントと情緒的つながりによって促される(Ryan &Lynch, 1989)。 1年目となる2021年度は,アタッチメント理論に基づく心理教育プログラムの理論的背景を整理し,全10セッションからなるプログラムを作成した。 プログラムのねらいは,①神経発達症を健康や自己発達という巨視的な視点からも捉え直し,成人期以降の人生に向かう青年期という移行期の複雑さとそれを支える親の役割を身につける,②青年期の子どもに親がアタッチメント対象として自律性を促していく視点を身につけ,アタッチメントの利用可能性の脅威が高まらないように,両親間で子育て協定を結んでいく,③子育て協定を結ぶために,両親間の成人アタッチメントの機能を高めていく,④子ども・家族にとっての安全の基地と避難所(Secure base & Safe haven) を両親がどうしつらえていくかを考えていく機会とする,以上の4つである。 このプログラムのプロトコル開発を目的としたシングルケース研究を計画し,倫理審査の承認を受け,研究を開始した。 また,青年期の親子間のアタッチメントに関する尺度の日本語版開発の許諾を得て,翻訳作業を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの申請者の実践と先行研究,現場のニーズを踏まえ,プログラム内容を精緻化し,プロトコル開発研究を始動することができている。 また,2年目以降の効果研究に向けた尺度の日本語版開発にも着手することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はプロトコル開発研究を進め,プログラムのプロトコルならびにマニュアルを作成する。完成後,複数事例を対象とした効果研究を計画し,倫理審査での承認を得て開始していく予定である。並行して,プログラムの理論的背景や総説をまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は主にプログラム作成のための理論的検討ならびに尺度の日本語版開発準備を進めていたため、人件費・謝金については翌年度の介入研究のために使用される予定である。
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Research Products
(1 results)