2021 Fiscal Year Research-status Report
利用者本位の介護サービス提供の実現に向けた基礎研究
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21K13485
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
鄭 煕聖 関東学院大学, 社会学部, 准教授 (80844092)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 介護サービス / 利用者本位 / ソーシャル・キャピタル / サービスの質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、利用者本位の介護サービス提供の実現を目指して、介護サービスの利用者を評価主体として位置付け、在宅から入所施設への環境移行後に現れるソーシャル・キャピタルの弱体化や生活課題を明らかにした上で、利用者向けの生活満足度尺度の開発と同時に生活満足度と幸福な老いの関連を検討し、現代の社会変化を反映した地域包括システムにおける介護事業所の位置付け及び今後の役割を明確にすることが目的である。 以上の目的に向けて、今年度は主に文献研究を行った。とりわけ、介護事業所および介護施設が普遍的に活用できる利用者の視点に着目した評価指標は現在も見当たらない中で、利用者評価に着目した研究論文を検討し、今後の課題を明確にした。その結果、利用者評価に関する研究蓄積は十分とはいえず、いくつかの課題を導き出すことができた。第一に、介護サービスの質評価に対して様々な指標が用いられており、その項目の内容や範囲における検討が必要である点。第二に、最近の状況を反映した検討が求められ、例えば、介護保険制度の改正をもとに新しく 創設された介護事業所も視野に入れて、比較可能な分析の枠組みを用いた多面的な視点からの検討が必要である点。第三に、アウトカム評価の測定項目として類似した概念が多く用いられていたが、その概念間の関連性についての検討が必要である点、である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は介護老人福祉施設の利用者15名を対象に半構造化面接を実施することを計画していたが、それに関連する文献をより綿密に検討する必要があると考え、文献検討を中心に研究を行ったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、介護老人福祉施設の利用者15名を対象に半構造化面接を実施することを計画している。具体的には、8月頃に倫理審査申請書を提出し、承認を得た上で、調査の協力を得た施設側に、施設入所期間が1年未満であり、調査員による質問に回答が可能で、最終的には本調査への協力に同意が得られた高齢者に対して、半構造化面接を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由としては、介護サービスの利用者へのインタビュー調査を実施することや介護老人福祉施設等に調査の協力を求めることが新型コロナウイルス感染症が拡大するなかでは現実的に困難であった点、また「介護サービスの質」及び「利用者の視点」に関連する文献をより緻密に検討する必要があると判断し、文献研究に注力した点が挙げられる。今年度の使用額としては、関連文献の収集にかかる費用、質的調査の実施にかかる費用、質的調査の文字起こしにかかる費用、質的調査の協力機関および協力者への謝礼品などがある。
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