2021 Fiscal Year Research-status Report
常同行動の栄養学的アプローチに向けた神経基盤の解明
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21K13494
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
池田 裕美 摂南大学, 農学部, 助教 (80846311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 常同行動 / 3次元深度センサ / 3D撮影装置 / ストレス / NMDA受容体 / GRIN1 / オプトジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患にはストレスを受けることによる環境的要因や遺伝的要因での発症がある。自閉症、統合失調症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などが挙げられるが、その症状は様々である。これらの精神疾患に共通して確認される行動が常同行動である。常同行動とは、ある一定の行動が増える異常行動であり、同じ場所を過剰に動き回ることや、自己を傷つけ続ける行為などがある。しかしながら、常同行動の詳細なメカニズムに関しては未解明である。本研究では普段から摂取可能な栄養因子による常同行動の制御が可能な経路を新規探索することを目指すために、神経基盤の解明を行う。普段から摂取可能な栄養因子による常同行動の制御が可能な経路を新規探索し見いだすことができれば、予防や緩和に繋げることが期待できる。 当該年度では、本研究遂行にあたり重要な装置となる3次元深度センサを用いた3D撮影装置の機材を揃えた。この装置は3次元深度センサを4方向から撮影することで、対象を立体的に捉えることができる。従来であれば2Dで撮影した映像を用いての行動評価となるが、これを3Dにして捉えることで2Dでは検出できなかった動きも捉えることが可能となる。このシステムの立ち上げをおこなった。 今後は常同行動のモデル動物を作出し、得られたモデル動物の妥当性について評価する。また、常同行動発現のスイッチについて特定の神経を活性化させる技術であるオプトジェネティクスにより神経基盤の特定を行う。特にNMDA受容体に関連する神経に着目し研究を遂行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では、本研究遂行にあたり重要な装置となる3次元深度センサを用いた3D撮影装置の機材を揃え、システムの立ち上げをおこなった。また、本システムの解析方法についてはまだ確立されていないため、併せて解析方法の確立についても進めた。しかしながら、本来であれば当該年度中に単離ストレスを負荷し常同行動を発現させたモデルマウスの確立まで行う予定であったが、動物飼育室の異常により予想よりも進まなかった。そのため、進捗状況としては予定よりもやや遅れている。 3D撮影装置自体は順調に作動していることを確認しているため、モデルマウスの確立が完了次第撮影を開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
環境的要因としてマウスに単離ストレスを与えることで、常同行動を示すマウスと示さないマウスに選抜する。常同行動を示さないマウスと示すマウス両者の行動パターンについて3D撮影装置(2021年度購入、設置完了)を用いて解析を行う。また、行動評価方法についての確立について課題が残されているため、引き続き行う。これまでの研究から、GRIN1のノックダウンにより前脳におけるNMDA受容体が減少すると常同行動が生じやすくなることが報告されている。GRIN1とは、NMDA受容体のサブユニットであり、グリシン結合部位を持つ。このグリシン結合部位にはD-セリンがコアゴニストとして働くことも示唆されており、このGRIN1をノックダウンさせたモデルマウスにおいて、NMDA受容体の活性が低下し常同行動および多動性を示すことが報告されている。そのため、GRIN1 mutationマウスを用いて(2022年度理研より購入予定)、3次元深度センサによる行動パターンの評価を行う。これにより、常同行動が発現する前兆が確認されるか否かについても検討を行う。今年度は、作出したモデル動物の妥当性について検討を行う。NMDA受容体活性化のためのD-セリンは、セリンラセマーゼと呼ばれる酵素により L-セリンから変換される。脳内セリンラセマーゼ活性は腸内細菌叢による影響を受けるため、マウスの腸内細菌叢についても検討する。最終年度では、常同行動を引き起こすスイッチを探索する。常同行動発現前後の行動パターンにおいて、GRIN1およびNMDA受容体の遺伝子発現について関連を検討するとともに、脳および血液のメタボローム解析を行う。加えて、オプトジェネティクスの手法を用いて神経基盤の特定を目指す(2023年度オプトジェネティクス関連用品購入予定)。
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