2023 Fiscal Year Annual Research Report
豚脂身の代替食品の開発に向けたエマルションゲルの食感とフレーバーリリースの制御
Project/Area Number |
21K13500
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
赤澤 隆志 宮城大学, 食産業学群, 助教 (00882276)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オリーブポリフェノール / oleacein / 代替肉 / 脂身 / 食感 / フレーバーリリース |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、OleaceinがゼラチンEGの破断強度を向上することを明らかにした。本年度は、動的官能評価法であるTemporal Dominance of Sensations(TDS)法とTime Intensity(TI)法を用いて、ゼラチンEGの咀嚼中の食感の推移、及び香り強度の推移を解析した。Oleaceinを添加していないゼラチンEG(Ct-EG)では咀嚼開始直後に「ふわふわ」、10秒付近に「べちゃべちゃ」、10~20秒に「クリーミー」が有意になった。2.5mMOleaceinを添加したゼラチンEG(Oleacein-EG)は咀嚼開始直後から20秒にかけて「弾力がある」が選択され、10秒付近で「つぶつぶ」、20秒と25秒前後に「べちゃべちゃ」が有意になった。よって、Oleaceinを添加することで、EGの食感の推移が変化することが示された。Oleacein-EGの食感は「弾力がある」から「べちゃべちゃ」へと移り変わり、これは30分間加熱した(茹でた)脂身と類似していた。ローストポークフレーバーを添加したEGを調製し、咀嚼中の香り強度に及ぼすOleaceinの影響を解析した。Oleacein-EGのTI曲線はCt-EGよりも低く推移したことから、Oleaceinを添加することで咀嚼香が弱まることが示された。以上のことから、OleaceinはEGの食感とフレーバーリリースに影響することが示された。物性測定機器を用いて、咀嚼を模擬した連続圧縮(人工唾液中、37℃下での圧縮)をすると、Oleacein-EGは20回の圧縮後も形状を保っており、亀裂の入りにくいゲルであった。また、人工唾液中の中性脂肪量はCt-EGよりも低かった。よって、Oleaceinの添加によって機械強度が向上し、ゲルが崩壊しにくくなることで、EGの食感及び咀嚼香が変化することが示された。
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