2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of simplified dietary assessment tools (Quick Recall) for older adults.
Project/Area Number |
21K13506
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
鎌田 智英実 四国大学, 生活科学部, 講師 (50389160)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 食事調査法 / 高齢者 / フレイル / 栄養管理 / 咀嚼力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年10~11月に地域在住の65歳以上の者106名(男性19名:78.4±6.6歳、女性87名: 78.4±6.1歳)を対象に身体状況、栄養素・食品群摂取量、咀嚼力およびフレイルの状況を調査した。咀嚼力の判定にはキシリトールガム咀嚼力判定用を用い、10段階のカラースケールでガムの色の変化を確認した。食品群摂取量の推定には食物摂取頻度調査票(FFQ NEXT)を用いた。 対象者のフレイルの割合は、フレイル24.1%、プレフレイル50.6%、ロバスト25.3%であり、フレイル群では咀嚼力ガムによる判定が平均値(8.6±1.7)以下の割合が66.7%と高かった。また、咀嚼力はフレイルおよびオーラルフレイルの判定項目の該当数と有意な相関がみられた(p<0.05)ことから、フレイル管理の面からも重要な項目であることが示唆された。咀嚼力ガムによる判定が平均値以下の者は、食物繊維およびその摂取源となる食品であると考えられるアブラナ科野菜、その他の野菜、きのこ類および海藻類の摂取量が有意に少なかった(p<0.05)。一方、フレイルと栄養素・食品群摂取量の関連をみると、ロバスト群からフレイル群にかけて男性は豆類、女性はたんぱく質、マグネシウム、リン、ビタミンK、ビタミンB6、パントテン酸および豆類とアブラナ科野菜の摂取量が有意に低い傾向がみられた(p<0.05)。咀嚼力とフレイルの両方に関係する食品としてはアブラナ科野菜があげられた。 フレイルの発症・進展に有効な栄養素として、たんぱく質とその摂取源となる食品群の摂取が報告されているが、咀嚼力の面から野菜類および食物繊維の摂取量の把握が重要であると考えられた。これまでにフレイルの発症・進展との関連を報告している栄養素に加え、今回関連のみられた栄養素について簡易食事調査法において推定する項目として開発を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染が収束せず、被験者および調査者双方の安全確保の面から調査実施時期の延期と変更を余儀なくされた。前年度までに比べて規制が緩やかになったため、概ね当初の予定人数の被験者への調査が実施できたが、調査時の被験者および調査者の安全の確保のため、当初計画していた調査項目のうち、口腔機能の測定等の一部調査の実施が困難であった。また、調査時には新型コロナウイルス感染症への懸念から一部調査項目について実施を拒否する被験者もおり、当初の予定から実施内容や実施項目を変更したため、進捗はやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、これまでにフレイルとの関連を見出した栄養素であるタンパク質、亜鉛、ビタミンD、ビオチンに加え、令和4年度調査においてオーラルフレイル及び咀嚼力と関連の見られた栄養素及び食品群であるたんぱく質、マグネシウム、リン、ビタミンK、ビタミンB6、パントテン酸、食物繊維および豆類と野菜類を検討項目に加え、簡易食事調査法(QRC)において推定する栄養素項目を決定する。さらにQRCの調査票作成に必要な食事データとして、65歳以上の高齢者50名に、常用する食品と1回あたりの食事量についての調査を行う。令和4年度の調査データおよびこれまでの調査結果や老人福祉施設で提供されている食事データ等も活用し、推定する栄養素の摂取源となる食品の選定と常用量を決定する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染が収束せず、対面での調査内容に制限が生じたことから調査対象者への謝礼および調査実施のために必要な消耗品の購入等が当初の予定よりも少なくなった。さらに、学術総会がWEB開催となる等旅費の使用も少なくなったため、次年度使用額が生じた。 令和5年度は、対面での調査を予定しており、調査実施のための消耗品、調査対象者への謝礼、調査補助およびデータ集計のための人件費への支出を予定している。また、これまでに収集したデータの分析用に統計ソフトの購入を予定している。さらに今年度は学術総会が現地開催となるため、学会発表にかかる出張旅費に使用する予定である。
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