2021 Fiscal Year Research-status Report
ESDの推進における初等教育の教師の専門性に関する実証的研究
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21K13511
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Research Institution | Kaichi International University |
Principal Investigator |
佐々木 織恵 開智国際大学, 教育学部, 准教授 (70825075)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ESD / 教師教育 / 比較研究 / 小学校教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はESDの推進において日本の小学校教師に求められる専門性と学校経営の在り方について実証的に検討し、専門性の育成や向上に必要な教師教育の在り方について考察することを目的としていた。本研究の核心をなす問いは「ESDの推進において日本の小学校の教師と校長にはどのような専門性と学校経営が求められており、どのような教師教育が必要なのか?」というものである。具体的な作業課題は以下の通りである。①日本において、ESDに関する初等教育の教師の養成や研修の実態はどのようであるか、②日本の小学校や教師のESDに関する知識や実践は諸外国と比較してどのような特性を持つのか、③ユネスコスクールやESD推進校では、教職員間の協議を通した教師の学びや省察はどのようになされているのか。今年度は②の作業課題を中心に取り組んだ。 具体的にはまず、国際的な議論の整理を行った。ESD for 2030、ユネスコ「Reimagining our futures together: A new social contract for education」、現在ユネスコにおいて改訂作業が進んでいる1974年勧告などの動向についてまとめ、論文を執筆した。またユネスコとEducation International(EI)が協働で行った、ESDとGCEDの実践における教師の現状についての国際調査の結果が示された報告書をまとめた。更に2020年度に横浜市において実施した質問紙調査の結果を、日本比較教育学会で報告するとともに、国際論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はまず、国際的な議論の整理を行った。具体的には2021年5月にベルリンで採択されたESD for 2030、2021年の11月にユネスコによって出された未来の教育についてのレポートや、現在ユネスコにおいて改訂作業が進んでいる1974年勧告などの動向について、「ユネスコの教育政策動向(2021):持続可能な開発のための教育(ESD)を中心として」という題目で論文を執筆した。また2021年11月~12月に韓国で開催された「5th UNESCO Forum on transformative education for sustainable development, global citizenship, health and well-being(持続可能な開発、グローバル・シティズンシップ、健康とウェルビーイングのための変容を促す教育に関する第5回ユネスコフォーラム)において発表された報告書の結果をまとめた。同報告書はユネスコとEducation International(EI)が協働で行った、ESDとGCEDの実践における教師の現状についての国際調査の結果が示されたものである。ユネスコはESDの推進に関わるSDGsの目標4.7を推進するリーディングエージェンシーであり、ユネスコの政策動向の把握は、本研究の国際的な位置づけを整理するうえで重要である。 また、2020年度に横浜市において実施した質問紙調査の結果を、日本比較教育学会で発表するとともに、国際論文にまとめた。同質問紙は、諸外国や国際機関によって作成されている指標を参考とし、横浜市の小学校で校長や教師を対象に、ESDに関する知識や教授実践の内容、学校経営における位置づけ等について質問紙調査を実施したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
作業課題①については、ESDコンソーシアムを作っている自治体において(横浜市を想定)、自治体の政策文書や研修計画を分析し、事例研究を行う予定である。その際、海外の先進事例(ニュージーランドを想定)との比較を行う。 作業課題②については、今後は対象を公立一般校や私立校にも広げ、日本のESD推進校における小学校や教師による取り組みについて把握し、諸外国と日本の共通点と相違点を明らかにする。また、近年ユネスコとEIによって行われた質問紙調査結果と、横浜市における質問紙調査結果を比較し、日本の教師のESD実践を相対的に検証する。 作業課題③については、過疎自治体である静岡県川根本町と、学校法人湘南学園において事例調査を予定している。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウィルスの影響があり、学校訪問や海外調査がかなわなかった。今年度は、教育委員会対象調査に係る人件費、海外出張等の旅費を予定している。
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Research Products
(3 results)