• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

教師教育における「批判的省察」実現のための条件整備に関する日米比較研究

Research Project

Project/Area Number 21K13520
Research InstitutionIbaraki University

Principal Investigator

高野 貴大  茨城大学, 教育学部, 助教 (40881529)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2026-03-31
Keywords省察 / 学校経営 / 社会正義 / ガバナンス / 条件整備 / 米国 / 教師教育
Outline of Annual Research Achievements

本研究は教師教育における「批判的省察」実現のための条件整備の在り方を日米比較によって明らかにすることを目的としている。批判的省察は、教師自身による社会構造の相対化が必須であり、教職という専門職としての視点から自律的に思考する必要がある。これには、各教師の動機が不可欠なだけでなく、前提を問い直すための一定の働きかけや「場」の設定(=条件整備)が求められる。本研究では「批判的省察」の原理を詳らかにすると同時に、それを実現するための条件整備の在り方を明らかにする。
上記目的達成のため、2023年度、以下3つの研究課題に取り組んだ。
第一に、日米両国における教師の「批判的省察」に関する原理と、その条件整備に関する理論の最新動向を詳らかにした。初年度からの関連文献収集とともに、渡米調査の実施に際して、関連分野の研究者や教育委員会による施策の一次資料の情報収集を行った。
第二に、米国における教師の「批判的省察」を促進するための学校を基盤とした取り組みについて、事例調査を行った。具体的には、ワシントン州シアトル学区を訪問し、教育行政の担当者や学校を訪問し、関係者へのインタビュー調査を行った。
第三に、上記の検討を踏まえ、日米両国における「批判的省察」実現のための条件整備に関する理論と実践について、現段階で明らかになったことを整理した。考察の視点として、教師にとって「批判的省察」が原理的にいかに重要か、そして、それを促すための条件整備について、学校を基盤とした組織的な取り組みはいかなるべきかという点を精緻にした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

2023年度は、前年度までと引き続き、日米両国における教師の「批判的省察」に関する原理と、その条件整備に関する理論にかかわる関連文献を収集し、検討できた。その中で、米国では、教師の「批判的省察」が学校を基盤とした取り組みとして進展してきていることが明らかとなった。
それらの検討をもとに、米国の最新動向について現地調査を行うことができた。具体的には、学校の「文脈」を重視して、児童生徒や地域住民の「声」といった質的データ(ストリートデータ)を収集することによって、公正性に適う学校経営を展開している取り組みについて、事例調査を行うことができた。
こうした事例調査は、当初計画していた教育委員会、大学、第三セクターの連携の在り方を明らかにすることを超えて、学校単位で社会正義に取り組むことの意義について析出できている。教師の「批判的省察」の実現に向けた条件整備が、教育委員会による施策だけでなく、学校を基盤とした取り組みとして展開することの意義を示すことにまで至っている。

Strategy for Future Research Activity

教師教育における「批判的省察」実現のための条件整備の在り方を明らかにするために、2024年度は米国での事例調査とともに、日本での実態に関する情報収集と事例調査を行う予定である。特に、2023年度の研究によって明らかとなった「学校を基盤とした取り組み」の重要性に焦点を当て、教師の「批判的省察」実現に向けた学校組織における取り組みを中心に調査したい。具体的には、米国のカリフォルニア州への調査を予定しており、教師の「批判的省察」を促す校長のリーダーシップに焦点を当てて、校長の研修プログラムや学校への訪問調査を予定している。また、日本でも今般の教員研修改革により、学校内での指導助言機能の充実が求められている。学校管理職や同僚間での対話に着目し、教師の「批判的省察」実現に向けた取り組みについて、探究する。

Causes of Carryover

2021,2022年度に新型コロナウイルス感染症の影響により、国内・国外出張が制限され、旅費の支出が当初計画より少額となったため。2024年度の旅費等として支出を計画している。

  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 学校組織における職能発達支援に対するプロセス・コンサルテーションの試み―「新たな教師の学びの姿」に対応した事例校での提案内容を中心に―2024

    • Author(s)
      髙野 貴大, 鈴木 稔, 長谷川 眞人
    • Journal Title

      茨城大学教育学部紀要(教育科学)

      Volume: 73 Pages: 493-513

  • [Presentation] 米国公立学校における公正性を中核とした学校ガバナンス改革-ワシントン州シアトル学区の「人種的公正チーム」施策を事例として-2023

    • Author(s)
      髙野貴大
    • Organizer
      日本教育行政学会第58回大会
  • [Presentation] 米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校における社会正義に資する教員養成に関する一考察2023

    • Author(s)
      髙野貴大
    • Organizer
      日本教師教育学会第33回研究大会
  • [Book] 「省察」を問い直す : 教員養成の理論と実践の検討(執筆範囲:第10章 米国の教師教育における「省察」言説と「社会正義」志向)2024

    • Author(s)
      山崎 準二 , 高野 和子 , 浜田 博文編
    • Total Pages
      249
    • Publisher
      学文社
    • ISBN
      9784762033223

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi