2021 Fiscal Year Research-status Report
Collaborative Research with Ainu people for the Development of New Educational Practices on Indigenous Education
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21K13521
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩佐 奈々子 北海道大学, 教育学研究院, 専門研究員 (50846251)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 先住民族教育 / アイヌ民族 / 意識化 / オープン・エデュケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アイヌ民族の人々が先住民族としての新しい自己認識の形成と生活の向上を促すための教育を「先住民族教育」と位置づけ、その「先住民族教育」につながる新しい教育プログラムをアイヌの人々と共同で検討し、開発することを目指すものである。 そのために、北海道内の3地域のアイヌの研究協力者とワーキング・グループ(WG)を作り、また海外の研究機関とも連携しながら国内外の先住民族の研究に関する情報を共有し、アイヌの人々に関する新しい教育プログラムを「教育、観光、ソーシャル・ワーク」という3つのテーマに焦点を当て、共同で開発していく。また、先住民族性の「意識化」を促すためのPAL学習法(岩佐2019)を土台にした「PAL共同研究法」:①脱フレーム化、②意識化、③再フレーム化、④共同創造、という4つの研究プロセスを用い、アイヌの人々の「先住民族教育」につながる新しい教育プログラムにしていく。 本年度は、当初研究計画で想定していなかったCOVID-19の社会的影響とすべての人々の健康を考慮する必要が生まれ、本研究のオンライン化を考える必要が生じたために、本研究をオンラインによるオープン・エデュケーション(OE)という手法を用いることにした。また、前年度までの研究成果を元に、地域のアイヌの人々の「語り」を尊重する方法をWGで検討し、「語り」を用いた教育プログラムの開発をOEの研究部門とハワイ大学のオーラル・ヒストリーセンター(COH: Center for Oral History, UH)と連携し、次年度からの新しい教育プログラムの④共同創造を行うための準備を進めた。今後の国内外の先住民族の人々の主体的な「語り」を尊重するための方法として、また新しいネットワークを構築するためにも効果があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2019年から国内外で広がったCOVID-19が2021年になっても沈静化せず、海外渡航が中止となり、北海道内での地域間移動も制限されたことから、当初予定していたアイヌの人たちとの共同研究の検討会をオンラインに切り替えた。その変更により、国内外の研究協力者との話し合いが容易になり研究の進展につなげることができた。当初計画していた、新しい海外の現地調査については、当該地のCOVID-19の収束具合をみながら次年度以降に計画をしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、北海道内の3地域のアイヌの研究協力者、オープン・エデュケーション(OE)の専門部門、ハワイ大学:オーラル・ヒストリーセンター(COH: Center for Oral History)という3者との連携を具体化させ、先住民族が居住する地域の「語り」に焦点を当てた新しいオンライン教育に関するプラットフォームを開発していく。また、このプラットフォームは、「PAL共同研究法」の②意識化のプロセスを容易にし、③再フレーム化につながる具体的な情報の共有や海外の研究機関との連携も可能にし、様々な④共同創造のためのツールとして効果がある。今後は、オンライン上で地域のアイヌの人達や海外の先住民族の人達とのネットワークを構築し、これからの先住民族の人達の「教育」や「観光」について考えるためのオンライン・ミーティングを計画している。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初の研究計画として研究調査として海外の現地調査を予定していたが、COVID-19のオミクロン株が拡散したことで、海外渡航が中止となり、現地調査を履行することができなかった。そのために、現地調査を次年度に持ち超すことになり、予算額を次年度使用にする必要が生じた。
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Research Products
(3 results)