2021 Fiscal Year Research-status Report
プロイセン教育改革期の教育学論争の内実と特質に関する研究
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21K13524
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮本 勇一 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 助教 (00897134)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロイセン教育改革 / 教育改革 / 教師論 / 陶冶理論 / フンボルト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、プロイセン教育改革の成果を国内外の主要学会の論文に投稿・掲載することができ、基礎的な理解について整理することができた。また、これらの成果が含まれる書籍の刊行準備を進める一年となった。他方で成果報告に力を入れた分、さらなる資料の検討と整理を進められなかった。 実施計画は主に1中央政府の文書の検討2学問委員会の審議議事録の検討3改革参与者による刊行物の検討としていた。このうち特に検討を進めたのは3であったが、1と2についてはドイツにてさらなる資料の収集が必要であり、今回は検討さえかなわなかった。 こうした直接的な検討については後れを取っているものの、研究の過程において多くのう回路を経たことが、研究一年目を終えた現在重要な視座となっていることは指摘しておきたい。一つには上述の研究成果の後悔とともに刊行した日本の教育学説史に関する研究の途上で、世界市民主義と国民主義をめぐる人間形成論の諸軸について検討することができた点。第二に、政治思想史にて検討されている自由概念の諸相について、リベラリズムとリバタリアニズムに関する知見を得、19世紀初頭の自由主義的観念の基盤的素地について理解を深められた点、第三に、20世紀新カント派の諸潮流の理解の中で、カントの問題構成について理解を深められた点である。これらについては、本丸となるプロイセン教育改革そのものの検討と成果の後悔につながることがないが、資料の検討の視座を多面的に提示してくれるものとなった点で、次年度の検討に大きな示唆をもたらすものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先述の通り、具体的な実施計画のうちの1と2が検討が困難であったことがあげられる。ドイツでのアーカイブでの渉猟が困難であったことも挙げられる。追加資料が得られなかったため、渉猟の計画を再設計する必要が今後ある。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、すでに取得済みの資料をさらに精読する作業(実施計画1と2に該当)を必要とし、国内学会における発表を機とする。特に当時の国民概念と世界市民概念の検討は、教育改革に携わる当事者の改革の意識に重要な基礎をなすものとみなすことができるため、これを検討する。ここにはリベラリズム的社会観が通底していたことも研究の視座として念頭に置いている。 第二に、ドイツアーカイブでの渉猟を検討する。 第三に、特に、これまでの研究成果としての書籍刊行に力を入れる。
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