2022 Fiscal Year Research-status Report
戦後国語科教育の展開過程に関する研究--石森延男と光村図書の関係を中心に
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21K13529
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
宇賀神 一 西九州大学, 子ども学部, 講師 (60850237)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 国語教育 / 学習指導要領 / 石森延男 / 戦後教育改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は二つの研究成果を残すことができた。一つ目は新史料の収集であり、なかでも特筆すべきは、科研費を申請する段階で「研究を大きく前進させることが期待される」史料として注目していた北海道立文学館所蔵の石森延男の日記の全文を撮影できたことである。同史料を含むいくつかの文書等に関しては、史料の所在を把握していたものの、手続き上の問題から複写はおろか閲覧すら叶わない状況にあった。当該年度においては、石森のご遺族の承認を得たうえで、同館に所蔵されたすべての史料を確認することができた。日記は1957年から1981年までのものが揃っており、これらの内容を分析することで、これまでまったく知られてこなかった戦後の石森の足跡が明らかになることが期待される。二つ目は、戦後初期の学習指導要領と石森の関係について整理して学会発表を行ったことである。同発表は、わが国最初の学習指導要領国語科編(1947年度版)の成立過程において空白となっていた、編纂初期における石森=日本側の国語教育構想について、戦前・戦後の国語教育思想との関係を問いながら明らかにしたものである。現在、同内容を研究論文としてまとめ公表する準備を進めている。当該年度における以上二つの成果は、石森の国語教科書編纂の仕事という角度から戦後国語科教育の展開過程を検討する本科研において基礎的かつ重要な意味をもつものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、本年度の特筆すべき研究成果として、研究を大きく前進させ得る日記を北海道立文学館にて全文収集し、併せてこれまで知られてこなかった関連史料についても確認することができた。以上の作業と併行して、光村図書および戦後の教科書制度にかかわる基礎的文献資料の収集に努め、研究を遂行するための基礎的な資料はおおよそ手元にそろえることができたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
残された研究期間(2023・2024・2025年度)では、入手した日記の翻刻・整理を最優先で進める。そのうえで関連資料の分析を行い、研究機関終了までに1)学習指導要領国語科編(1951年度版)の成立過程における石森の役割の検討、2)光村図書草創期における石森の立ち位置の解明、および当時の国語教科書と石森の国語教育思想との関連の解明に努め、戦後国語科教育の展開過程について考察する。
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Research Products
(1 results)