2023 Fiscal Year Research-status Report
開発途上国における教育政策のアジェンダセッティングと理論形成
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21K13544
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
隅田 姿 広島修道大学, 国際コミュニティ学部, 准教授 (80843804)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教育政策 / アジェンダセッティング / モザンビーク / ザンビア / アフリカ / 公共政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、モザンビークとザンビアを事例に、開発途上国におけるアジェンダセッティングの過程を明らかにし、理論モデルを形成することを目的に、6つの手順で実施を予定されていた。計画当初の6つの手順は、①文献調査、②モザンビークとザンビアへの1回目の現地調査(関連文書を収集)、③収集した文書の分析(関係者を特定)、④2回目の現地調査(インタビュー調査)、⑤インタビューデータの分析、⑥3回目の現地調査(分析結果の確認)および理論モデルの形成であったが、初年次からコロナパンデミックの影響があり調査国への渡航が困難であったため②、④、⑥を統合し、1回の現地調査に変更している。 3年目の本年度は、モザンビークへの現地調査(②、④、⑥)を実施し、インタビュー分析(⑤)までを実施した。モザンビークでの現地調査は約3週間で、研究協力者の協力のもと、教育関係者へのインタビューや政策文書や関連文書の入手など貴重なデータを収集することができた。 また過年度に、コロナパンデミックの影響で現地調査を実施できなかったことから、今年度は、アフリカにおける教育政策策定プロセスのアクター(参加者)分析という、二次データを使った研究課題を新たに設定し取り組んだ。具体的には、アフリカの16か国における59の教育文書の収集をし、その文書にあるアクターの政策策定への参加度合いを分析し、その役割についての考察を行った。この成果は国際学会において口頭発表をし、教育政策関連分野の専門家から助言をもらい修正も行った。現在、この成果については論文執筆をしている。この追加の研究課題は、本研究課題の考察において活用できるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では初年度からコロナパンデミックの影響により現地調査(データ収集)が実施できず全体的に遅延していた。本年度は、モザンビークとザンビアの2か国への現地調査を計画していたが、ザンビアについてはコレラ感染症大流行より学校および教育機関が2か月弱間閉鎖されるなど、教育省がその対応に追われ、適切なインタビューや情報収集ができないと判断したため、研究期間を1年延長し、次年度に延期をした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ザンビアへの現地調査(データ収集)を実施し、データ分析と考察および最終成果の発表を行う。全体的に研究が遅延していることから、研究協力者を最大限に活用して進めていく。ザンビアへの現地調査については、現地協力者からの情報をもとにコレラ感染症の終息状況や、インタビュー対象である教育省や援助機関関係者の状況を確認したうえで、なるべく早い時期に実施する。データ分析については、1名ではなく2名もしくは3名の研究協力者にコーディング作業を依頼する。今年度、代替的に設置した追加の研究課題については、分析と考察を精査し、次年度早々に論文として纏める。その際、今年度口頭発表した学会において本研究に関心をもってくれた研究者に連絡し再度コメントをもらうことで、考察および纏めの改善と効率化をはかる。
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Causes of Carryover |
次年度の使用が生じた主な理由は、これまでの研究において現地調査を予定通り実施できなかったことと、今年度についてはザンビアへの現地調査がコレラ大流行のため延期されたことである。ザンビアでのコレラ大流行は終息の兆しを見せており、次年度の渡航が可能である見込みである。さらに、もう1つの調査対象国であるモザンビークについても、現地の状況と自身の教育業務の状況が許す限り、再度現地調査を実施する予定である。
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