2023 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the role of infant crying in the persistence of depressive symptoms from pregnancy to the postpartum period.
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21K13548
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
平岡 大樹 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (60894764)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 養育者感情 / 周産期メンタルヘルス / 乳児の泣き / 縦断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究活動では、以下の主要な成果を得た。 第一に、妊娠中の母親のストレスが乳児の泣き行動および泣き声に与える影響を調査するためのデータ取得を行った。具体的には、妊娠中の母親をリクルートし、産後132名の母親から乳児の泣き行動についての評定を受けるとともに、泣き声を記録した音声ファイルを収集した。今後、これらの音声ファイルから泣き声の音響特徴を抽出し、妊娠中に評定された母親のストレスとの関連解析を実施する予定である。 第二に、本研究課題が基盤となる国際共同研究強化Aのため、University of Denverに滞在し、乳児の泣き声に対する母親の脳活動の個人差を生じさせる要因について研究を行った。この研究では、妊娠中の母親がストレス、うつ症状、実行機能について回答し、産後に泣き声を刺激とするfMRI課題を実施した。結果として、妊娠中の実行機能はストレスやうつ症状と有意に負の相関を示し、産後の泣き声に対する上側頭回や下前頭回の活動に影響していることが示された。この成果は本年度のOrganization for Human Brain Mapping学会で発表予定であり、現在論文化を行っている。 第三に、妊娠中のストレス、産後の泣き行動、産後の母親のうつ症状、母子絆感情の縦断的関連性を解析した。解析にはランダム切片交差遅延パネルモデルを用い、母子絆感情とうつ症状との関連について、前者から後者への影響過程が示唆された。さらに、妊娠中のストレスや泣き行動が、個人の安定したうつ症状や絆感情からの逸脱を引き起こしやすいことが明らかとなった。この研究成果はSociety for Research in Child Development 2023で発表され、Psychological Medicine誌に論文として掲載された。
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Research Products
(5 results)