2022 Fiscal Year Research-status Report
子どもの自然遊びからみた都市緑地の生態系サービスに関する研究
Project/Area Number |
21K13550
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
須藤 朋美 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (60847797)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 子ども / 自然体験 / 生態系サービス / 都市緑地 / 遊び |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもが経験する自然環境の中での様々な遊びやアクティビティは、都市の生態系サービス(自然環境が人間に提供する恩恵)である。本研究では、福岡県北九州市戸畑区の子ども、保護者、祖父母世代との協働により、子どもの自然体験の観点から都市の自然環境の保全・再生計画を提案することを目的とする。 2年目となるR4年度は、昨年度に引き続き、大学・地域・行政で構成される「戸畑なかばる遊び環境研究会」(以下、研究会)を調査研究活動の基盤として研究を進めた。今年度はは計9回の研究会を開催し、地域の小学校、市民センター、行政関係部署とのつながりを強化した。研究会を通して、実際の地域の利用者、管理者の立場から地域の実情に即した調査研究の在り方を議論するとともに、インタビュー等の協力者への足掛かりを作った。本年度の研究会の活動は、広報誌にまとめ地域住民や小学生向けにまとめ、地域へフィードバックした。 調査では、昨年度選定した5つの街区公園の利用実態調査を実施した。研究会にて昨年度の調査結果をもとに協議し、より地域の実態を把握できるように調査方法を更新した。調査は平日の5日間、9:00~11:00、13:00~15:00、16:00~18:00の時間帯に分け、10分おきに各公園の利用者の年齢層・性別・利用環境・利用行動を記録した。対象公園では、世代ごとの利用時間の相違、各公園の特徴、外遊び環境として地域全体の課題がおおよそ把握できた。直接的自然体験としては、幼児が落ち葉を拾うなどの行動はあったが、かなり限定的であった。今後は地域の河川や林といった環境にも調査範囲を拡張していく。 R4年度も新型コロナウイルス感染症拡大抑制のための行動制限下にあり、地域住民・子どもを対象とした調査が十分に実施できなかったため、研究成果として公表・活用していくためには、今後も継続してデータを取得する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大抑制のための行動制限により、地域住民・小学生・保護者等、人を対象として調査が十分に実施できなかったこと、行動制限下のデータであり研究成果として公表するには引き続き調査を実施する必要がある。一方で、昨年度の結果をもとに調査方法を更新して調査を実施してきたため、地域の状況がより詳細に把握できる調査方法が確立されつつあり、来年度以降は研究成果の発表につながるデータ取得が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
月1回の研究会を軸に、継続して小学生・保護者・高齢者の3世代へのヒアリング・インタビュー調査によりデータを取得・分析をする。調査対象者・団体との良好な関係を築くことが、今後の地域づくりの観点からも重要であるため、ヒアリング・インタビュー調査の方法や時期は、調査対象者との協議の上、適宜変更・実施する。ヒアリング・インタュー調査のデータがおおよそ得られた時点で、子どもの自然遊びの場となっている空間について環境調査を実施し、データの解析を進める。今年度の研究会での活動を通して、地域で幼少期を過ごした高齢者や親世代とのつながりができ始めている。また、新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着き始めているので、地域の小学校への調査協力を進め、調査範囲・対象者を拡大してデータを取得していく。
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