2022 Fiscal Year Research-status Report
日本とカナダでの子ども自身によるセルフアドボカシーの実証的国際研究
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21K13559
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
畑 千鶴乃 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (60550944)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アドボカシー / 子ども・ユース / 当事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度から継続してオンタリオ州子ども・ユースアドボカシー事務所から支援を得て、当事務所が閉鎖された後も当事者ユースでグループを立ち上げ、州政府が提供する子ども・ユース支援に当事者の声を反映したものに再編するよう働きかける活動を起こしたセルフアドボカシー団体Ontario Children's Advancement Coalition(以下、OCAC)と、オンラインによる交流を重ね、当事者活動の進捗状況についてインタビュー調査を行った。結果として以下のことを把握した。 昨年度、州政府とOCACらと協議しながら、子ども・ユース支援に関するサービスを州より提供すると覚書が交わされたことを確認したが、その後、これら当事者団体と州政府とが共同して、18歳以降、当事者が経済的、社会的、精神的に独立していく過程を支えるために、指標を示すことができるよう協議を重ねていくことを把握した。その指標を作成してく当事者団体と州政府との協議の過程を今後も追っていくこととする。 またこうした当事者が行うアドボカシー過程は、子どもとユースアドボカシーの教育を受けていたり、当事者が以前にアドボカシーの支援を受けて、そのアドボカシーの過程を踏むなかで自然とアドボカシーを学んだりしているため、アドボカシーの過程について教育を受けたり、知見をもっている仲間が多く存在している必要がある。そして、その仲間を中心にアドボカシー活動を動かしていくこととなる。こうした、子ども・ユースアドボカシーの知見をもった子どもやユースを育てるための教育プログラムを今後把握することとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当事者団体OCACと討議する場を設ける機会を定期的に得られている。また子ども・ユースアドボカシーの対象となっている先住民族のユースグループとも協議することができる機会を得たため、当事者団体の活動の進捗状況について把握することができている。 またそれらを支える教育課程について、トロントメトロポリタン大学子ども・ユースケア学科が設置する教育課程の過去のシラバスを全て入手することができた。このためこれら資料を分析し、教育課程の全体像を把握する研究を今後も進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
カナダのオンタリオ州トロントメトロポリタン大学(旧:ライアソン大学)などから助言を得て、「子どもアドボカシーを実践し得る教育課程の全容」を解明することを本研究の目的としているため、今年度はトロントメトロポリタン大学子どもユースケア学科の教育課程の全容について詳細に把握することとする。 もう一つの研究目的である「カナダの公的子どもアドボカシー機関からアドボケイトを受けた子どもたちによるセルフアドボカシーの実態」については、今後、日本の社会的養護経験者とカナダの社会的養護経験者との討論の場を設けることにより、本研究の目的について討議を深める場を創造することとする。
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Causes of Carryover |
2023年4月~2024年3月末までサバティカル研修を取得し、本科研で述べるライアソン大学(現在、トロントメトロポリタン大学、以下TMU)子ども・ユースケア学科へ客員教授として着任する。本科研は2021年度から4か年だがコロナ禍で渡加できず研究遂行に困難を極めたがオンラインにて学術交流を継続してきた。その中2023年度より1年間、TMUにて本科研に専念できる研究環境を整えた。そのため当初は2022年度に行う予定だった渡航による研究を次年度に使用し、集中させる必要性がある。次年度使用とする研究費は、カナダ往復の渡航費と1年間滞在する滞在費(出張旅費)として充てる。 2023年度中はTMU教員陣の一人として以下の目的を設定し研究に従事する。1)CYCの学部および修士課程の必修科目の全体像を把握する。2)博士後期課程設置委員会に参画する。3)CYCと地域子どもアドボカシー当事者団体との共同事業・研究の実際を把握する。
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