2022 Fiscal Year Research-status Report
知的障害・発達障害のある幼児を育てる両親のwell-beingに関する研究
Project/Area Number |
21K13563
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Research Institution | Ohka Gakuen University |
Principal Investigator |
勝浦 眞仁 桜花学園大学, 保育学部, 教授 (60622488)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | well-being / 障害児の親 / この子の親 / ネガティブ・ケイパビリティ / 転調 / IDD |
Outline of Annual Research Achievements |
IDD(知的障害および発達障害)のある子どもを育てる親のwell-beingを明らかにしていくことが国際的な課題となっている。そこで、IDDのある幼児を育てる両親を対象としたインタビューを実施するとともに、北欧諸国のIDD児の親支援団体等を対象とした調査から国際比較を行う。これらを踏まえ、IDDのある幼児を育てる両親のwell-beingを構造化し、我が国の独自性について明らかにすることが本研究の目的である。 2022年度は,IDD児の両親のwell-beingを構成する要素の解明および構造化することを目指して,IDD児の予備調査および親に対するインタビューを継続した。ここまでの研究によって見出された構造についても,インタラクティブに更新し、検証していった。さらに,親のwell-beingに関する国内外の最新の論文についても文献研究を重ねていった。特に北欧についての文献調査をすすめた。 そして、ここまで実施してきたインタビューについての分析を行った。ここまでの研究を通して、IDDのある子どもを育てる親は「障害児の親」としてのドミナント・ストーリーからの意味づけを留保し、「この子の親」として子どもと共にあろうとするネガティブ・ケイパビリティという生き方をしていることが示唆され、動態としての親のwell-beingが形成されることを明らかにした。その両義的な側面を「転調」という概念によって検証していける可能性が見出された。さらに,IDDのある子どもを育てる親にとって、保育の場で我が子がどのような生活をしているのかが重要なファクターであることも見出された。特にインクルーシブ保育が子どもに与えている影響が、「この子の親」であるという実感につながり、親のwell-beingを高めてい可能性が見出されてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に,本研究課題に関する国内学会の研究発表を3件、オンラインの国際発表を2件行い、研究成果をある程度かたちにすることはできてきている。一方で、コロナの影響等もあり、北欧での実地による調査研究を進めていくことがなかなか難しい状況がある。また、インタビューデータをもう少し増やすとともに、分析をより進めていくことが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、北欧での実地による調査が実施可能になるように、関係者と調整を行い、実施環境を整えていくことを最優先で行う。また、関係機関や親の会と調整し、インタビューデータをさらに増やしていく。その分析も丁寧に行っていく。こういった研究活動を通して,我が国におけるIDDのある幼児を育てる親のwell-beingを構造化していくことを目指す。2023年度が本研究の課題の最終年になることから、国内外の学会発表のみならず、論文投稿・発表、さらに書籍の出版など研究成果を公表し、貢献できるように努めていく。
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Causes of Carryover |
参加予定していた国際学会がオンラインになったため次年度使用額が生じた。この予算は予定通り、今後、インタビューデータおよび国際発表のための準備に活用していく。
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Research Products
(6 results)