2022 Fiscal Year Research-status Report
Research for the realization of "Well-being" through art activities in Waldorf education
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21K13568
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 奈穂子 筑波大学, 芸術系, 助教 (80844711)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヴァルドルフ教育 / ウェルビーイング / 造形教育 / 美術教育 / ルドルフ・シュタイナー / フリースクール / 国際比較 / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学校全体で芸術を重視しているヴァルドルフ教育における造形活動に着目し、この学校における造形教育がどのように人間の「ウェルビーイング」の実現に貢献しうるのかを明らかにすることである。目的の達成のために、本研究では、文献調査、国内外における実地調査、聞き取り調査によりヴァルドルフ教育の理論と実践の両側面から造形教育の特質を解明し、特に就学前教育から中等教育段階までのプロセスを丹念に追いながら探求する。そこで得られたことをもとに、子どもを対象に造形活動の実践を行い、活動中の子どもの言動や行動などを検証することでヴァルドルフ教育のウェルビーイングへの寄与の可能性を解明する。 本研究は4年計画で、1年目はヴァルドルフ教育の理論や思想の研究、ウェルビーイングの方法論の研究に重点を置き、研究の成果を研究論文として執筆し、口頭発表を行った。 当該年度は、本研究の2年目に該当する。国際状況や感染状況を鑑みて、国内におけるヴァルドルフ教育の展開の解明に重点を置いた。1年目に実施した調査の中で、ヴァルドルフ学校以外の場、つまりは絵画教室としてヴァルドルフ教育を展開している事例が明らかになったため、国内のシュタイナー学校への実地調査および聞き取り調査に加え、追加調査を実施した。研究成果については、中間発表として美術科教育学会兵庫大会にて口頭発表を行い、研究成果の国際論文への投稿に向けて執筆を行った。 加えて、研究のアウトリーチ活動として、ヴァルドルフ教育の水彩の技法であるにじみ絵(ぬらし絵)を使った他教科連携の教材開発とつくば市内の公立小学校において実践を行った。その内容については、著書『教科融合型教材の開発とカリキュラム・デザイン〈ピーターと狼〉』に執筆し研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際情勢や訪問先の感染状況に加え、先方や自身の新型コロナウイルス感染などが重なり、計画通りに国内外の学校への実地調査に行くことができなかった。秋以降再度計画を練り直し実地調査を随時実施しているものの、申請時の計画からは多少遅れがみられる。しかし、これまでの研究内容の国際論文への投稿も視野に、現在追加調査を行っているところであり、計画通りの進捗状況に戻りつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、2年目に引き続き、国内に新しく開校したヴァルドルフ学校を中心に実地調査と聞き取り調査を行う。ドイツの自由ヴァルドルフ連盟の認可を受け、学校リストに名前が掲載されていない学園も含めて調査対象にし、国内でどのようにヴァルドルフ教育が展開されているのか実態調査を行う。次に、発祥地であるドイツを中心としたヨーロッパ各国、加えて、公立学校化に成功しているオーストラリアなどで実地調査を行う予定である。実地調査を行う前に、各国のナショナルカリキュラムや公教育のシステムなどについて基礎調査を行い、その国におけるヴァルドルフ教育の位置づけを明らかにした上で実地調査を行う。 なお、実地調査は、現地の感染状況や国際情勢を十分加味して臨機応変に行う。実地調査が困難な場合は、オンラインによる聞き取り調査やアンケート調査などを検討し、大きく計画に遅れが出ないように取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、学会や講演会の多くがオンライン実施となった。また、自身が新型コロナウイルスに感染しホテルへの10日間の隔離、その後1か月程度後遺症が残った影響で、実地調査を計画通りに入れられなかった。そのため、旅費を次年度に引き継ぐこととなった。2023年度については、学会や講演会などが対面に戻るため、予定額の支出が見込まれる。また、現在、海外への実地調査を計画しているが、燃料費の値上げなどで現地の交通や航空券が値上がっているため、問題なく使用する見込みである。
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Research Products
(5 results)