2023 Fiscal Year Annual Research Report
「自立活動」における音楽療法的活動の理論構築を目指した実証的研究
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21K13573
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
上野 智子 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (80583939)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自立活動 / 即興表現 / 音楽療法 / 音楽教育 / 特別支援教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
「自立活動」における音楽療法的活動として、昨年度に引き続き特別支援学校小学部において音楽教育学および障害児教育学の大学教員、教職大学院生、アドバンスド・プログラム生、特別支援学校教員が、それぞれ異なる立場・視点で意見を出し合いながら授業づくり・実践・協議を行った。実践を通して音楽を用いることで活動の流れがスムーズになり,①自立活動のねらいであった微細運動や粗大運動の向上,②感覚統合による認知機能の向上,③他者と協働しながら活動に取り組めることなどが確認できた。一方,①児童の実態把握が十分にできていなかったこと,②なぜ自立活動において音楽を選択するのかという根拠の共有が十分でなかったことが課題として上がった。特に②については,音楽をどのように教員が用いるのかという視点とそれに伴う知識・技能の共有が欠かせないことも明らかになった。 また,過去に申請者らが実施した「自立活動」における音楽療法的活動に参加した生徒(卒業生)を対象にインタビュー調査を行った。その結果,卒業生たちは,①即興表現活動を楽しい活動として認識していること,②即興表現において特定の何かを真似て表現するよりも,想像力を働かせながら自由に表現する活動を好んでいること,③音楽科と自立活動で行う音楽活動に対して異なる認識を抱いていることが明らかになった。③については,音楽科も自立活動で行う音楽活動の双方に好意的な印象を抱いているが,音楽科に対しては他の生徒たちについていかなくてはならないというプレッシャーを感じており,自立活動についてはそうしたプレッシャーがなく安心して活動できる活動と認識していた。
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