2021 Fiscal Year Research-status Report
教員養成課程における音や音楽を聴く活動の教育的効果に関する実証的研究
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21K13583
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
三橋 さゆり 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (70758440)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 音の聴取 / 音環境 / 表現 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教員養成課程に在籍する学生が音や音楽を聴く活動を通して音や音楽に対する認識が変容する過程を解明することである。 そこで、学生の音や音楽に対する認識の変容に関わる概念を抽出し、概念同士の関連を示した理論的枠組を提示する。この枠組みに基づいて音や音楽を聴く活動に関する教育的効果の整理やカリキュラムの構築を目指す。 本年度は、音や音楽を聴く活動として、マリー・シェーファー(2009)の『サウンド・エデュケーション』を参照し、学生が音に興味をもって聴取する活動のプログラムを計画して実施した。これらの活動の中から、学生が自分で聴取した音を記録して、それを他者と共有する活動を調査の対象とした。具体的には、授業後に学生が作成した省察レポートにおいて、他者との共有や対話に関して記述されている部分を分析して、学生同士の相互作用や学生の音に対する認識に関する要素を抽出した。そして、音の聴取の記録を他者と共有することや音の聴取に関して対話を行うことが学生個人の音や音環境の認識にどのように作用しているかに関する理論的枠組みを提示した。その結果、他者との相違点を発見することで、音や音環境に対する着眼点が増え、聴取への意欲をもつようになることが明らかになった。加えて、この経験から、学生が対話を設定する意欲を示したり、具体的な教育活動のアイデアを提示したりする等、保育や教育への活用が期待できることが示唆された。この研究成果は、日本教材学会が発行する『教材学研究』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、音の聴取と、その経験を他者と共有して対話する授業の実践を分析して概念を抽出し、他者との対話を通した音に対する認識の変容過程に関する理論的枠組みを生成した。さらに、この成果を学会誌に公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、引き続き、音や音楽の聴取に関する授業を実施する。そして、その実践において学生が音や音楽を聴いて表現した成果物を分析し、学生の音や音楽に対する認識を探り、その様相を解明する予定である。
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Causes of Carryover |
学会の大会がオンラインとなり、旅費の支出がなくなったため、次年度使用額が生じた。次年度は、実践を行うための物品費や研究成果を公表するための学会の大会参加費等が必要になるため、その一部に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)