2021 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Research on the Development of Evaluation Methods Centered on Self-Regulation in Junior High School Social Studies
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21K13589
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井上 昌善 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10824104)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 学習評価 / 自己調整力 / 中学校社会科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中学校社会科において子ども自らが学習改善を行うために必要となる自己調整力を中核とする学習評価モデルを開発することである。本研究1年次では、①中学校社会科の学習評価の実態調査、②自己調整に着目した学習評価に関する先行研究の考察、③自己調整を促す中学校社会科の学習評価モデルの開発という三点について、以下の取り組みを行った。 ①の学習評価の実態調査に関して、中学校社会科教師を対象として、学習評価に関するアンケート調査を実施した。その結果、多くの社会科教師が「主体的に学習に取り組む態度」の評価について難しさを感じており、具体的な方法について課題意識を持っていることが明らかになった。 ②の先行研究に関して、自己調整に着目した代表的な研究であるバリー・ジマーマンをはじめとする自己調整学習論の考察を行った。その結果、自己調整を促すためには、子どもを取り巻く社会的支援的環境の整備が必要であることが明らかになった。 ③の学習評価モデルの開発に関して、①②の結果をふまえて、中学校社会科の授業で活用可能な学習評価モデルの開発を行った。ここでは、学習者である子どもの学習の振り返りと見通しを促すためのワークシートの構成の工夫や教師のフィードバックの方法について検討を行うことで、具体的な学習評価のモデルを示すことができた。 以上の成果は、県内外の教員を教員研修会や社会科教育に関する参考書などへの掲載を通して、学校現場の教師や教育関係者に向けて公開された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の①~③から、進捗状況を「おおむね順調に進展している」と評価した。 ①中学校社会科における学習評価の実態調査については、県内の教育委員会・関係機関と連携をして学習評価の実態調査を行うことができた。本調査結果の分析の精緻化を行うとともに、県外の中学校社会科教師にもアンケートの協力依頼を行い調査対象を広げることで今後も継続的な実態調査を行っていきたいと考えている。 ②自己調整に着目した学習評価に関する理論的考察については、バリー・ジマーマンなどの自己調整学習論の考察を行った。それによって、子どもの自己調整を促すためには、教師による教育的まなざし(鑑識眼)の精緻化を含む子どもを取り巻く社会的支援的環境の整備が必要であることを明らかにした。 ③自己調整を促す中学校社会科における学習評価モデルの開発については、研究協力者の教員との定期的な意見交換を通して、暫定的なものではあるものの学習評価のモデルを開発することができた。特に、子どもが学習の成果を振り返ることで、次時の学習への見通しを持てるようにすることを重視して開発に取り組んだ。 以上の取組の成果は、県内外の教員研修会や参考書への掲載を通して学校現場の教師や教育関係者に向けて公開された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究を推進するために以下の①~③の取組を行いたい。 ①中学校社会科における学習評価の実態調査については、これまで実施した調査は、量的なものが中心だったため、半構造化インタビューなどの質的な調査を実施していきたいと考えている。それらの調査結果の分析を行うことで、そこから見えてくる課題克服を目指す方策を検討していきたいと考えている。 ②自己調整に着目した学習評価に関する理論的考察については、教育心理学の研究成果の整理を行うとともに、社会科教育学の学習評価研究の考察を通して、本研究の学習評価論の位置づけを行っていきたい。 ③自己調整を促す中学校社会科における学習評価モデルの開発については、今年度開発した学習評価モデルの有効性を授業実践に基づいて検証する。また、②の成果をふまえて、子どもの自己調整を促すための具体的な指導及び評価方法を継続的に検討する。 以上の取組の成果を研修会や学会などで報告する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、参加を予定していた学会などが全てオンライン開催となったため繰越分が発生した。今後は、今年度生じた研究課題を克服するために、学習評価に関する研究者へのヒアリングや研修会の開催を定期的に行う予定である。繰越分と翌年度分の助成金は、これらの関連経費に使用する計画である。
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Remarks |
本サイトは、主として定期的に開催している研修会の成果を公開することを目的にして作成したものである。
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