2023 Fiscal Year Annual Research Report
共同注意の成立頻度に着目した自閉スペクトラム症児の不適応を予防する支援の提案
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21K13615
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
永井 祐也 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 講師 (40814538)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 共同注意 / 注意共有方略 / 母子相互交渉 / 不適応 / 情緒及び行動上の問題 / 育児ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
児童発達支援センターに通園する知的障害児とその母親を対象に、母子相互交渉場面における母親の注意共有方略とそれに対する児の反応といった特徴と児の不適応行動との関連を検討した。その結果、母親の注意共有方略(特に、児の興味・関心に合わせた関わり)と児の不適応行動との間に負の相関関係が示された。また、児の興味・関心に合っていない母親の関わりと児の不適応行動との間に正の相関関係が示された。さらに、母親の注意共有方略に対する児の反応率と児の不適応行動が相関関係にあることが示された。 小・中学生であるASD児とその母親44組を対象に、神経衰弱で遊ぶ母子相互交渉場面の分析から共同注意の成立頻度を評定し、ASD児の不適応行動との関連を検討した。その結果、母子相互交渉場面におけるASD児の共同注意行動の生起数や母子のアイコンタクトの成立回数と不適応行動との間に有意な負の相関関係が示された。また、ASD児の各試行の結果に応じた母親の反応率と不適応行動との間に有意な負の相関関係が示された。このように、母子間の共同注意の成立頻度が高いほど、ASD児の不適応行動が少なくなる関係が成り立つ可能性が示された。 以上から、「ASD児の共同注意が頻繁に成立するほど、ASD児の不適応は軽減される」という本研究申請課題の仮説は、幼児期・学齢期のどちらを対象とした場合にも支持された。ASD児の不適応を予防・対応するために、周囲との共同注意の成立頻度を高める支援が有効である可能性が示唆された。
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Research Products
(11 results)