2021 Fiscal Year Research-status Report
医学的背景のある不登校児のオーダーメイド加療プログラムの構築
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21K13629
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
井上 建 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00531732)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 概日リズム睡眠覚醒障害 / 不登校 / 心身症 / 発達障害 / インターネットゲーム障害 / 高照度光療法 / ランダム化比較試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、不登校を伴う概日リズム睡眠-覚醒障害に対する高照度光療法(以下BLT)のパイロット研究を行った。リクルート基準を全て満たした12名(年齢:13~15歳)の被験者を3週間の短期入院療法単独群とBLT併用群の2群に無作為に割り付けた。入院当日に自己都合により自主退院となった1名と、入院後に繰り返す備品破壊と同室児とのトラブルのために自主退院となった1名の計2名を除外した、計10名について検討した。 男女比は、男児7名、女児3名で、平均年齢は14.1歳であった。全例にCRSWDと不登校を認め、併存症として自閉スペクトラム症2名、起立性調節障害5名、過敏性腸症候群2名、片頭痛2名、全般性不安障害1名を認めた(重複あり)。単独群と併用群(BLTあり)の2群の割り付けはそれぞれ5名であった。 起床時間に関しては、介入前後(入院前と退院時)で全対象、単独群、併用群のすべての群で有意な改善を認めた(p<0.01)。入眠時間に関しては、全対象では、入院前と退院時の比較で有意な改善(平均2時間2分、p<0.01)を認めたが、単独群と併用群では有意な違いを認めなかった。 両群を比較検討すると、入院前と退院時は、起床時間と入眠時間ともに有意な差を認めなかったが、退院2週後では、起床時間と入眠時間ともに併用群が有意に早かった(それぞれp<0.01、p<0.05)。また退院時の不眠重症度質問票(ISI)(合計得点の範囲は0 ~ 28 点[正常は7点以下]、得点が高いほど主観的重症度が高い)得点は、有意に光療法群が低値を示した(表2、p<0.05)。以上からBLTの有効性が示唆された。 さらに、計25名がリクルートされ、順次ランダム化比較試験を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で入院加療に配慮が必要な状況が続いているが、感染管理につとめ、ほぼ予定通りにランダム化試験を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度中には予定の40名が完了できる見通しで、半年間の前向きなデータ煮関して、評価項目を説明変数、不登校状態を従属変数として多変量解析を行う。介入前の不登校状態と介入後の不登校状態の改善度、それぞれに対する説明変数の影響を評価する。
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Causes of Carryover |
1.参加予定であった学術集会等は、新型コロナ感染症の影響により、現地での参加ではなくWeb参加となり、交通費および宿泊費がかからなかったため。 2.遺伝子検査に関しては、実施準備が整っておらず未実施なため。 今後の使用計画としては、ランダム化試験と統計解析等を予定通りに実施し、人件費、統計費、諸経費などに使用予定である。
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[Journal Article] 不登校を併存した概日リズム睡眠-覚醒障害に対する高照度光療法の効果:ランダム化比較試験2022
Author(s)
井上 建, 嶋田 怜士, 春日 晃子, 椎橋 文子, 北島 翼, 松島 奈穂, 荒川 明里, 大戸 佑二, 大谷 良子, 三島 和夫, 作田 亮一
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Journal Title
脳と発達
Volume: 54
Pages: 135-137
DOI
Peer Reviewed