2021 Fiscal Year Research-status Report
「ヨコへの発達」の現代的意義ー重症心身障害児の「発達保障」の思想と実践から
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21K13633
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
垂髪 あかり 神戸松蔭女子学院大学, 教育学部, 講師 (00848947)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重症心身障害児 / ヨコへの発達 / びわこ学園 / 発達保障 / 現代的意義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「ヨコへの発達」の現代的意義を重症心身障害児の「発達保障」の思想と実践 に則して検証することを目的としている。この目的を達成するために、 【研究1】1960年代から2000年代における田中昌人の「ヨコへの発達」について解明すること 【研究2】現代社会における優生思想と「ヨコへの発達」思想との比較検討 【研究3】さまざまな場所で生きる重症児者の「ヨコへの発達」の療育・教育・福祉実践の事例的検討を計画した。 【研究1】では、田中昌人の「ヨコへの発達」に関連するもの、滋賀県の知的障害者更生施設における1950年代から1990年代の実践に関する史資料を収集し、整理した。その後、同施設にて聞き取り調査を実施するために研究協力の依頼をしたが、新型コロナウイルスの影響がもう少し収束してからにしてほしいとの要請を受け、文献研究のみ行った状態で一旦休止している。この間、【研究3】を進めた。【研究3】では、重症心身障害児施設びわこ学園に協力依頼をし、コロナの状況をみながら可能な限りで定期的にびわこ学園を訪問したり電話やメール、オンライン等で打ち合わせをし、事例の選出を行った。入所施設で生活する重症心身障害児者と、グループホームやケアホームを利用しながら地域生活を送る重症心身障害児者、それぞれの「ヨコへの発達」について検討するために、基礎資料の収集も行った。【研究2】については、基礎文献の収集のみ行った。【研究1】【研究3】の進捗状況を見ながら、こちらも進めていくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に【研究1】1960年代から2000年代における田中昌人の「ヨコへの発達」について解明する計画で研究を進めていたが、対象とするあざみ寮にて新型コロナウイルス感染による外部者入所制限がかかり、施設の訪問ができなくなった。その結果、1月に予定していた参加観察と療育場面のエピソード記述の職員による確認・検討作業ができないまま【研究1】は中断している状態である。この事態が持続するようであれば、今後は文献研究に研究方法を変更し、なんとか継続し、研究を進めていきたい。 同じく【研究3】についても、研究協力先であるびわこ学園において新型コロナウイルス感染による外部者入所制限がかかり、2021年6月から2022年2月までは施設を訪問しての調査研究が全くできなかった。2022年3月から、規制が少し緩和されたため、訪問し事例研究を進めるよう調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究1】1960年代から2000年代における田中昌人の「ヨコへの発達」について解明すること:引き続き研究協力先である知的障害者更生施設と連絡を取り合いながら、コロナの状況を見て再度、訪問の依頼をする。その間、文献収集とその整理も行っていく。 【研究2】現代社会における優生思想と「ヨコへの発達」思想との比較検討:まだ基礎文献の収集しかできていない【研究2】についても、過去と現代の文献を収集し、検討する作業に取り掛かる。 【研究3】さまざまな場所で生きる重症児者の「ヨコへの発達」の療育・教育・福祉実践の事例的検討:事例を選定し、重症児者本人や家族、支援者へのインタビュー調査の準備と実施、分析を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度は、新型コロナウイルス感染拡大が持続し、学会や研究集会の中止により予定していた学会や研究集会等に参加することができず、研究協力先への訪問も制限されたため、旅費が余剰することになった。2022年度においても、先が読めない状況が継続しているが、可能な限りで予算執行していく。また、学術論文の執筆が計画通りに進まなかったため、それに係る謝金の支払いが発生しなかった。これについても2022年度は精力的に執筆を進め、研究協力や翻訳等への謝金の支払いを執行していく。
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Research Products
(3 results)