2021 Fiscal Year Research-status Report
高校生の「主体的な学び」を実現する反転授業デザインの開発
Project/Area Number |
21K13635
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
煮雪 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 客員研究員 (70897545)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 反転授業 / ブレンディッドラーニング / 教育工学 / 教育実践 / 物理教育 / 主体的・対話的で深い学び / 高等学校教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、反転授業実施に向けた授業動画の撮影・編集をはじめとした授業コンテンツの制作、及び本授業デザインに基づく授業実践に取り組んだ。計画当初、授業実践は1年生での実施のみを想定し、年次進行で実践学年を増やしていく予定であったが、授業コンテンツの制作と並行して他学年においても初年度から授業デザインの実践に取り組み始めた。初年度は主として本授業デザインの生徒の学びに向かう主体性への寄与について授業アンケートの実施により評価を行った。その結果、クラスや学年ごとのばらつきはあるものの、全体として約7割程度の生徒が本授業を通して主体性が身についたと実感していることが明らかとなった。また、この結果と本授業デザインが知識の定着に有効であると感じている生徒の割合と相関があることから、「知識の定着」の実感が「学ぶ意欲」の向上へとつながり、結果として「主体的」に取り組めるようになったと考えられる。 一方で、主体性が身についたと実感している生徒の割合が低いクラスのアンケートの自由記述項目についてワードクラウド分析を行った結果、授業内容のわからなさ・理解できなさからくる「~して欲しい」といった受動的な態度を示す回答が目立った。この結果から、教員として生徒に対して知識を「教える」という関りと学びを「支える」という関りのバランスが重要であることや、それをクラスや生徒に応じて調整することが反転授業をより効果的に実践するために重要であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、初年度から授業コンテンツの制作及び本授業デザインの実践に取り組み、本授業デザインが生徒の主体性の涵養に有効であることを示唆する結果が得ることができた。さらに、年次進行予定であった他学年での検証にも今年度から取り組み始めており、次年度へ向けた一定の方針を確認することができた。一方で、コロナ禍による学級閉鎖やグループワークへの制約など、授業デザインを一部変更せざるを得ない状況もあった。今後は、このような社会情勢を踏まえた方策の検討や学年ごとの結果の差異、本授業における教員の効果的な支援方法についてさらなる検証が必要と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の実践成果を踏まえて改善を施した授業デザインの検証・評価を行う。特に、提案授業デザインによる反転授業実践2年目の学年においては、複数年継続して反転授業を行うことによる効果の検証を試みる。このような継続的な生徒の変容観察を基に、次年度へ向けて発展的な授業デザインの検証や教員の関わり方の学習意欲や主体性への相互作用等についても検証を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
令和3年度は新型コロナウイルスの影響で、出張による情報収集や参加を予定していた学会がオンライン開催になるなど、出張旅費の執行の変更を余儀なくされた。このことにより執行することができなかった出張旅費は令和4年度に持ち越し、利用する予定である。
|
Research Products
(1 results)