2023 Fiscal Year Research-status Report
高校生の「主体的な学び」を実現する反転授業デザインの開発
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21K13635
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
煮雪 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 客員研究員 (70897545)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 反転授業 / ブレンディッドラーニング / 高等学校教育 / 教育実践 / 物理教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案した反転授業において、対面授業時に授業者の生徒への関わり方が生徒の主体的な学びにどのような影響を与えるかを検証した。複数の授業者で実践行い、生徒へのアンケート調査、及び授業者へのインタビュー調査を行った。生徒へのアンケート調査結果から、各授業者が同じ反転授業デザインに基づいた実践を行ったにも関わらず、「授業の進行スピードや難易度の感じ方」、「授業を通して感じた有能感」、「授業への積極性」等の複数項目で授業担当者によってアンケート回答内容に顕著な差が確認できた。特に、授業のねらいを理解し、従業者の支援に対する満足感が高いほど、「授業の進行スピードや難易度の感じ方」、「授業を通して感じた有能感」、「授業への積極性」の評価も高い傾向であることが明らかとなった。また、授業者へのインタビュー調査から、生徒の積極的な授業参加を促すことに成功している授業者は、生徒に対して反転授業を実施する意義や理由を日常的、あるいは定期的に共有することで、生徒が納得した上で授業に臨めるよう働きかけていることが明らかとなった。この結果は先ほどのアンケート結果とも一致している。さらに、学習意欲等で分類した各生徒層に対する反転授業への順応プロセスを理解するとともに、各順応プロセスで生じる課題に対しての解決策と主に生徒への自律的支援の手段を有していることが共通していた。一方で、どの授業者においても、学習意欲が低い生徒に対して支援の難しさを感じていることも明らかとなった。以上のことから、従業者が反転授業に順応する各段階で起こりうる主な課題を予め認知し、各生徒層に適した自律的支援を行うことが、生徒の有能感の向上や授業への積極的な参加を促し、主体的な学びが深まることが示唆されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に基づいて反転授業デザインの中期的な検証・改善をするとともに、対面授業時の効果的な支援方法についておおむね方向性が明らかとなったことから、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
反転授業への順応プロセスと起こりうる課題を時系列で整理し、授業中の各生徒層に対する授業者の支援内容や教授方法を生徒との会話から分析するなどを通して、各プロセスに応じた学習者への自律的な支援の具体を提案し、有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
実践現場等の事情により一部検証を先送りにせざるを得なくなった。そのため、検証に必要となる物品費やその成果発表にかかる旅費がその他項目に関係する費用が執行できなかった。それに伴い、次年度は授業デザインの完成に向け、先送りにした検証である対面授業時の効果的な支援方法に関する更なる検証を遂行する必要がある。次年度の前述の通り、授業実践や研究報告のために使用予定である。
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