2021 Fiscal Year Research-status Report
理科における「人に教えるために書く文章」の生成モデルの解明と指導方法への応用
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21K13655
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Research Institution | Niijima Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
野口 聡 新島学園短期大学, 新島学園短期大学, 講師 (10780934)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人に教える活動 / 教授方略 / 文章生成モデル / 理科教育 / 中学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,中学生を対象として「人に教えるために書く文章」の生成モデルを解明し,望ましい文章生成に至るための教具や指導方法を開発することである. そのために2021年度は,「人に教えるために書く文章」の生成モデルの解明を目指した.具体的には,まず調査協力者となる生徒の分類から始めた.それは「人に教えるために書く文章」の生成モデルを確立するには,しっかりと書ける生徒の思考手順を解明する必要がると考えたからである.そこで分類した生徒のなかから,人に教える学習活動に積極的に取り組むこと,理科の用語のみを利用するのではなく平易な表現や補足の説明を利用した文章を書くこと,ができる生徒群に着目した.なお当初は,書けない生徒のデータも収集し,分析する予定であったが,そうした生徒は課題を解決するために教科書を写すことを中心に考えていたり,そもそも書けなかったりした.そのため計画を一部変更した. つぎに,先述の生徒らのなかから7名に対して,発話思考法によるデータを収集し,分析した.発話思考法とは,作文を書きながら頭に浮かんだことはすべて外言化させる手法である. HAYES and FLOWERなどによるモデル図を参考に,データを分析した結果,個人の認知過程のなかに「説明活動モニタリング」を加筆した.この過程を追加した理由は,年下の相手に理解してもらうための工夫として,1)平易な表現を使うこと,2)情報を捕捉する説明を加えること,3)重要点を強調すること,といったモニタリングをしながら文の生成をしていたからである.他に,モデル全体を「人に教えるために書く文章」に合わせて具体化された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者となる生徒の分類ができたが,対象とした生徒が2021年度の時点で3年生だったため卒業してしまった.そのため部分的に調査をやり直す必要があるものの,生徒を分類するための視点は定められたので 2022年度にも応用可能である.そのため進捗状況に大きな影響はない. また「人に教えるために書く文章」の生成モデルのために必要なデータ収集は,終了しているので改めてデータを収集しなくても良い.この点に関しては,当初の計画よりも進捗していると言える.そのため当初の計画にはなかったが,2022年度の学習者を対象としてあらためてデータを収集し分析することで,生成したモデルの実効性を高められると考える.それらを総合的にみて,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の生徒を対象として,データを収集し,「人に教えるために書く文章」の生成モデルの検証を実施することで,生成したモデルの実効性を高められると考える.そのため今年度の末ごろまで,モデルの生成を行う計画である.この研究成果は,研究論文として執筆することを考えている. また2023年度に備えて,望ましい文章生成に至るための教具や指導方法の開発を始める計画である.
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Causes of Carryover |
旅費・物品購入の使用額の差が生じたのは,緊急事態宣言下であり,渡航制限があったためである.そのため利用できるか分からなかった,遠方地で利用する予定の機材の購入もしなかった. 2022年度は,渡航制限がないため予算が失効できる状態になったら,当初計画をしていたとおり必要な物品の購入を進める計画である.
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Research Products
(2 results)