2022 Fiscal Year Research-status Report
「関数的な見方・考え方」を取り入れた理科授業が「量の関係」の理解に与える効果
Project/Area Number |
21K13660
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
山田 貴之 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90824277)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 量の関係 / 理科と数学の教科等横断的な学習 / 関数的な見方・考え方 / 理数学習の有用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、比例関係のある事象を扱う中学校の理科授業を各学年から抽出し(第1学年:密度、フックの法則、第2学年:オームの法則、第3学年:物体の運動)、結果の処理と考察の過程において「関数的な見方・考え方」を取り入れた指導法を考案し、それが「量の関係」の理解に与える効果を検証することを目的とした。 本研究の2年目(2021年度)は、中学校第1学年理科「フックの法則」において、「関数的な見方・考え方」を働かせ、かつ「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」を構成する因子を高める授業方略を組み入れることによる、2量関係について、実験結果の表からグラフを作成して式に表したり、表やグラフ、式を分析・解釈したりする力や、「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に対する意識に及ぼす効果を明らかにすることであった。この目的を達成するために、中学校第1学年の生徒を対象としたフックの法則の理科授業を行い、2量関係の理解の程度を測定する調査問題と、「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に関する質問紙調査を行った。 その結果、比例関係にある事物・現象のグラフから比例関係的に考察する考え方と、比例関係を示すグラフの直線から式化する力の育成に効果があることが明らかになった。また、実験群の事前~事後で、4因子(因子2「関数的な見方・考え方」、因子3「理数学習の有用性」、因子4「理科における学習方略」、因子6「数式化・数値化の意識」)に有意な上昇が認められ、「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」に対する意識の向上に一定の効果があることが示唆された。本研究の授業方略は、2量関係を理解させ、「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」を認識させる上で、一定の効果があることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】で述べた通り、本研究の2年目(2022年度)で得られた知見は、理解が難しいとされる内包量の形態をとる概念(例えば、密度、圧力、湿度、オームの法則、フックの法則)の獲得を促進する指導法としての可能性を裏付ける根拠と示唆を得るとともに、2量関係を取り扱う理科授業において、「理数学習の有用性」の意識を高めるためには、「関数的な見方・考え方」を取り入れた指導の有効性が示唆されたため。 また、後述する「研究発表」の通り、本研究計画に基づく成果(学術論文5編、学会発表3編)を得ることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、比例関係のある事象を扱う中学校の理科授業を各学年から抽出し、結果の処理と考察の過程において「関数的な見方・考え方」を取り入れた指導法が、「量の関係」の理解に与える効果を検証することを目的としている。 今後の研究の推進方策として、新潟県内の公立学校の生徒を継続して調査対象とし、中学校3年間の見通しをもったカリキュラム・マネジメントの視点から授業改善に取り組み、それぞれ異なる事象(例:密度、フックの法則、オームの法則、物体の運動)であっても「関数的な見方・考え方」を働かせ、2つの数量の間の法則性を見いだして理解できるか否かを評価することが挙げられる。
|
Causes of Carryover |
物品費(プリンターのインク)として使用する予定である。
|