2023 Fiscal Year Research-status Report
「望ましくない行動を選ぶ自由」:自由意志信念およびその機能の再検証
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21K13666
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
渡辺 匠 北海道教育大学, IRセンター, 准教授 (80759514)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自由意志信念 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、複数の調査項目(抽象的な行動に関する質問項目や、仮想シナリオの具体的な行動に関する質問項目)を通じて、人々にとって自由意志とは望ましい行動を選択することだけではなく、望ましくない行動を選択することもふくむことが明らかになっている。今年度の研究ではこのような自由意志概念の定義によって、人々の自由意志信念とセルフコントロールの関連が変化すると予測を立てて分析した。より具体的には、自由意志が望ましい行動だけでなく望ましくない行動の選択もふくむ場合、自由意志信念とセルフコントロールの間に関連は見られないが、「自由意志は望ましい行動を選択することである(望ましくない行動の選択はふくまない)」という信念が強まると(もしくはもともとそういった信念が強い人は)、自由意志信念とセルフコントロールの関連が強くなるという予測をした。しかし、こうした予測に反し、「自由意志は望ましい行動を選択することである」という信念を実験的に操作されたり、もともとそういった信念が強い人でも、自由意志信念とセルフコントロールの関連は強くはなかった。ただし、「自由意志は望ましい行動を選択することである」という信念が強い人ほど、セルフコントロールが高い傾向は観察されている。以上の結果から、事前の予測は基本的には支持されなかったことにはなるものの、行動の望ましさに関する自由意志の概念定義はセルフコントロールと無関係ではないことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題の重要な仮説の1つである変数間の関連が基本的には観察されなかったため(ただし、仮説とかかわる別の変数間の関連は観察されている)、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の展開として、複数の方向性が考えられる。1つは今年度の研究で支持されなかった予測(自由意志の概念定義に応じた自由意志信念とセルフコントロールの関連)について、その原因を特定することである。このほかに、当初の計画にもとづき、自由意志信念と攻撃行動等との関連を媒介する変数を特定することも、今後の研究展開の方法として考えられる。
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Causes of Carryover |
残額が少額(1,622円)のため、次年度使用分(調査や物品費用)に合算して使用することとした。
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