2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K13672
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋保 亮太 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 助教 (50825130)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 暗黙の協調 / チーム学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,チーム学習が暗黙の協調へ及ぼす効果を精査することであった。実験室実験の結果,実験の序盤については,いずれの条件においても徐々に暗黙の協調が実現されていくことが示された。これは,チーム活動を行うことに順応・熟達していく過程が反映されているものと考えられる。一方,実験の中盤以降については,チームの振り返りの有無によって傾向が異なっていた。具体的には,チームの振り返りあり条件では,実験の中盤,暗黙の協調遂行度の向上が一時的に停滞するものの,終盤さらに暗黙の協調遂行度が高まることが明らかになった。これは,チームの振り返りによって課題そのものやその取り組み方についての学習が進み,結果として終盤に暗黙の協調が実現されていったものと推察される。対して,チームの振り返りなし条件では,実験の中盤以降,一貫して暗黙の協調の向上が緩やかな状態を保っていた。チームの振り返りによる学習の機会がなければ,暗黙の協調を効率的にチームに備えていくことは難しいものと考えられる。これらの結果から,チーム学習を繰り返し行うことで,チーム内で行動や考えの改善と共有が行われるものと考えられる。 いかにして暗黙の協調を実現していくかは,チームの形態を問わずあらゆる文脈で重要課題としてあげられてきた。しかし,暗黙の協調は理論上での議論や示唆の提言ばかりが先行し,実証的検討が十分に行われてこなかった。それに対し,本研究は暗黙の協調について時系列を追った検討を加えただけでなく,それらの知見の一般化可能性を検証した。本研究で得られた知見は,効率的なチーム活動に関する理論構築の一歩となるだけではなく,実際のチーム活動をより良くしていく上での議論の一助となりうるだろう。
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