2021 Fiscal Year Research-status Report

The demonstration of establishing indirect reciprocity in situations where the choice of cooperation partner is possible

Research Project

Project/Area Number	21K13674
Research Institution	Kochi University of Technology
Principal Investigator	井上裕香子高知工科大学, フューチャー・デザイン研究所, 助教(PD) (00850976)
Project Period (FY)	2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords	協力行動 / 間接互恵性 / 評判
Outline of Annual Research Achievements	本研究は、なぜ人間がコストをかけて見知らぬ他者に協力するかという問いに迫るものである。見知らぬ他者への協力を支えうる理論の1つとして検証されてきたのが、間接互恵理論である。これは、見知らぬ他者に協力する人はその相手から返報されなくても、良い評判を得ることで別の人から協力してもらえるようになるため、長期的には協力が得になるという理論である。しかしこの理論は、人々がどのような行動履歴情報に基づいて「良い」評判をつけるのかについて、理論研究と実験研究の間に矛盾がある。この矛盾を解くことが本研究の目的であった。研究計画時点では、この矛盾を解決する鍵となるのは、人々が間接互恵の中で「今後の返報が期待できない状況で、自分が一方的に協力する相手」を評判に基づいて選択することだと考えていた。しかし、関連分野の研究者と議論を進めるうちに、そもそも人々が評判を重要視するのは、そのような「一方的に協力する相手」を選択する状況ではなく、「今後長期的に協力し合う可能性がある相手」を選択する状況ではないか、と考えるようになった。そこで当初の研究計画を修正し、まずはこの仮説を検討する実験を行うことにした。具体的には、間接互恵の中で出会った人たちと今後長期的に協力し合う可能性がない状況とある状況で、評判をつけるための行動履歴情報が閲覧される量や時間を比較する場面想定法実験を行う。研究計画と実験デザインの見直しをしたことと、冬季のオミクロン株流行により対面で行う実験実施が困難な時期があったことで、当初の研究予定よりは遅れが生じているが、現在は修正した研究計画に基づいた実験の準備がほぼ終わり、6月には実験を開始できる状況である。遅くとも夏にはデータ解析を終了する。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 「研究実績の概要」に記載した通り、研究準備時点における関連分野の研究者との議論の中で、「なぜ人間がコストをかけて見知らぬ他者に協力するか」という大元の問いに取り組むにあたり研究計画と実験デザインの見直しをした。これに加え、冬季のオミクロン株流行により対面で行う実験実施が困難な時期があったことで、当初の研究予定より遅れが生じている。ただし現在は修正した研究計画に基づいた実験の準備がほぼ終わり、6月には実験を開始できる状況である。必要なデータが集まり次第、急ぎデータ解析を終了する予定である。
Strategy for Future Research Activity	今回の実験の結果によって、当初の予定通り間接互恵状況における評判システムに焦点を当てた研究を継続するべきか、それとも本来間接互恵理論とは分けて考えられてきた「今後長期的に協力し合う可能性がある相手を選択する」という場面も合わせて検討する必要があるかが明らかになる。実験1が終了し次第、これを踏まえて実験2のデザインを検討しなおす予定である。そのため、当初の予定では今年度秋ごろに実験2を実施する予定であったが、実験2が実施できるのは、当初の予定よりやや遅れた今年度冬頃を予定している。実験2のデータを今年度中に集め終わり、データ分析を2023年度に行う予定である。なお、スケジュールの遅れが生じた場合を考慮し、2023年度のスケジュールにはやや余裕をもたせてあるので、現在起きている研究計画の遅延はある程度吸収できるものと考えている。
Causes of Carryover	「現在までの進捗状況」に記載の通り、昨年度中に実施する予定であった実験1を今年度に遅らせた。そのため、実験1の実験参加者に支払う謝金（人件費）が次年度に繰り越された。繰越金は、申請通り今年度に実施する実験の謝金（人件費）として使用する予定である。