2022 Fiscal Year Research-status Report
環境の安全手がかりの知覚が心拍変動と共感的関心に及ぼす調整効果の検討
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21K13675
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
日道 俊之 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 講師 (80800995)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 安全性の知覚 / 尺度作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では安全性の知覚尺度の項目の選定(研究1)や因子構造の確認(研究2-1),信頼性及び妥当性の検証(研究2-2,研究3)を行った。事前調査として2021年度の調査において「あなたが『自分は安全・安心だ』と感じた場面はどのような場面でしたか」という質問に対し自由記述で回答を求めたが,その記述内容からKJ法を用いて67個の質問項目を作成した。 事前調査で作成した項目群をプレ尺度として,本尺度に含める項目を選定するためにウェブ調査(研究1)を実施した。プレ尺度67項目について5件法で回答を求め,その回答に対して探索的因子分析を行ったところ41項目が8因子(「他者とのつながり」,「社会経済的地位の安定」,「居住環境の穏やかさ」,「保護者への愛着」,「自己制御への自信」,「公共システムへの信頼」,「心身の安息」,「他者からの受容」)にまとめられた。これを本尺度とし,その因子構造を確証するためにさらなるウェブ調査(研究2-1)を行った。研究2-1では,本尺度の因子モデルとして,8つの因子が相関する相関モデル,8つの因子に影響する高次因子を想定した高次因子モデル,8つの因子とは独立して全項目に影響する一般因子を想定した双因子モデルのうち,どのモデルを採用すべきか検討した。さらに,再検査信頼性を検証するために,一定期間をあけたのち,この調査の参加者に再度本尺度への回答を行ってもらった(研究2-2)。その結果,本尺度では双因子モデルが採用され,モデル適合度は問題ない値を示した。また,再検査信頼性も十分な値を示した。最後に,本尺度の内的一貫性や構成概念妥当性を検証するために,新たなウェブ調査(研究3)を実施し,他の尺度との相関関係を検証した。その結果,いずれの因子も内的一貫性は十分であり,それぞれの因子が想定している構成概念を測定していることも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度では,安全性の知覚尺度を作成し,その信頼性・妥当性は十分であることが示された。したがって,目標としていた本尺度の作成が完了したといえるため,研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
安全性の知覚は心拍変動と正の相関関係があるとされているため,2023年度では安全性の知覚尺度が心拍変動と正の相関関係があるか否か検証することで,生理学的指標からも本尺度の妥当性を検証する。そのうえで,心拍変動と共感性の関連をどのように安全性の知覚が調整するか,実験により検証を行う。さらに,2022年度の成果を基に論文を執筆し,学術雑誌に投稿する。
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