2023 Fiscal Year Research-status Report
自然環境に対する擬人化認知と自己超越的感情反応の社会生態学的検討
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21K13677
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
坂本 剛 中部大学, 人文学部, 教授 (30387906)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 擬人化認知 / 自然環境に対する感情反応 / 奄美群島 / 文化的産物 / 文化規範のタイトさ / 社会生態学 / 民話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自然への心理的な反応特性を醸成する環境要因の特定,及びその心理的反応による環境配慮行動促進の効果の検討を含む,人間―環境システム全体を包括する具体的メカニズムを検証する。そのために,(1)心理的反応特性を地域の自然・社会環境要因の相互作用から説明する社会生態学モデルに基づいた調査を行い,一連の過程メカニズムを明らかにし,(2)自然環境の擬人化認知が環境配慮行動に至る無意識の因果過程について,心理学実験を用いて精緻化したうえで,環境PRなどにおける擬人化の利用可能性と理論的基盤を提案することを目的としている。 過程メカニズムに関する研究では,2021年度に新型コロナウイルスの蔓延状況を考慮して,(A)文化的産物の分析と郵送調査を組み合わせるアプローチと,(B)対象集落を限定した小規模な聞き取りアプローチの2系統を順応的に管理する方法へと計画を見直した。2022年度は(A)について対象地域を大島エリアに限定した文化的産物(民話)資料と郷土資料の収集を一通り終え,基礎的な分析を終了した。成果は2023年度の日本グループ・ダイナミックス学会と東海心理学会で発表した。加えて,大島エリアの昔話と方言の継承活動のネットワークと研究協力の体制を構築・拡充できた。集落調査(B)は継続して瀬戸内町の一集落を訪問,調査を進めている。2023年度も聞き取り面接対象の集落を拡張することは避けた。また地域自治体の学芸員各位との研究協力ネットワークを継続して構築している。 実験研究は2023年度も自然観察会を開催して事前事後デザインによる感情反応の変化の検討を行った。2022年度に導入した畏敬などの感情反応に注目した観察プログラムを2023年度も継続した。2021年度までの成果について,雑誌論文化をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過程メカニズムに関する研究のうち(A)で,2022年度までに行った文化的産物(民話)と郷土資料の収集と内容分析に基づいて,日本グループ・ダイナミックス学会と東海心理学会にて成果発表を行った。それらの成果は地域の歴史・民俗を専門とする学芸員各位と在野の昔話・方言の継承活動家へ再度フィードバックを行い,専門的知識に基づくさらなる助言を得ることができた。研究協力ネットワークの拡充を図ることができた。 自然観及び文化規範に関する質問紙の郵送調査の実施に向けた地域選定を継続しており,実施は2024年度の計画とした。集落調査(B)では順調に面接調査を進行させることができている。 実験研究は,日本自然保護協会等が開発を試みている感情反応に注目した観察会プログラムに関する資料を継続して収集し,協力体制にある自然観察指導員及び生態学を専門とする研究者たちと,新たな自然観察体験プログラムを作成し,実際の観察会で実践的な検討を行うことができた。これらの成果は2023年度に雑誌掲載論文として公開した。擬人化プライミングは2022年度に着手したが,調査データの分析結果について2023年度も論文化に間に合わなかったため,2024年度中の論文化を目標とする。
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Strategy for Future Research Activity |
過程メカニズム(A)では,奄美大島エリア内の文化的産物に関する基礎分析の結果を地理的情報及び社会生態学的情報と重ね合わせたデータに,質問紙調査によって収集された自然観及び文化規範に関する個人回答を統合することによって,個人―地域の階層性を持ったデータセットを構築し,自然環境への心理的な反応特性情勢に至る人間―環境システム全体について,マルチレベル分析を通して検討することを目標としている。そのため,(1)社会生態学的情報においてはとくに1970年代以前の地図を基にした各集落間の移動の困難さの指標化と,(2)郵送による質問紙調査計画の実施の2点が引き続き中心的な課題となる。集落調査(B)では,ポストコロナ期の地域の方々の対応状況に配慮をし,可能であれば訪問集落を拡張し,これまでの調査のフォローアップを行う。 実験研究では,(1)2022年度に開発を開始した新たな自然観察プログラムについて観察会での実践検討とバージョンアップを継続し,その効果性について測定・分析を行う。(2)2022年度に開発した擬人化プライミング課題を用いた実験室実験を試みる。
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Causes of Carryover |
今後の研究計画の調査(2)郵送による質問紙調査計画の地域選定を継続して行っており,調査実施を2024年度へ先送りした。 次年度使用額は,郵送調査,現地調査,及び実験室実験の実施に際して使用する計画である。
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Research Products
(3 results)