2021 Fiscal Year Research-status Report
The mechanism of loneliness based on self-memory system-An integrative approach of Psychology and Natural Language Processing
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21K13683
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩井 律子 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 研究員 (40713920)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 孤独感 / 自然言語処理 / 自己ー記憶システム / 自伝的記憶 / BERT |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、孤独感が精神的健康や寿命等に影響することが明らかになり(e.g., Hyland et al., 2018)、新たな研究が展開されてきている。加えて、最近の新型コロナウィルス感染防止対策の影響により、他者との関わり方にも大きな変化が求められており、孤独感の重要性が再認識されている。孤独感を過去の経験によって形成された概念的自己の表象として捉え、その生起過程を認知心理学の枠組みと情報学の方法論(自然言語処理; Natural Language Processing; NLP)で理解する。そこで、まずNLP技術を用いて心理変数を推定する新たな言語特徴解析方法を確立した上で、実験を通じて言語特徴解析結果と孤独感の生成メカニズムの検証を行う予定である。そのため、本年度は使用可能なNLP技術の調査を行い、BERTを適用することとした。BERTとは、Bidirectional Encoder Representations from Transformersの略で、多様な自然言語処理課題の成績を当時更新した (Delvin et al., 2018)。本年度は、まずBERT等を使用すべく言語処理環境を構築し、関連する解析スキルを習熟した。次に、以前に申請者が収集した、孤独感を感じた場面ついて記述したテキストを、同時に収集したUCLA孤独感尺度による自己評価の孤独感を正解として、BERTで学習させたところ精度はあまり高くなかった。一方で、クラウドソーシングを通じて収集した他者による筆者の孤独感評定を正解として、BERTで学習させたところ高い正解率を示した。本結果は、2022年2月の国際学会にて発表した。そこで、別途具体的な誰もが共通する体験の記述に、個人特性が現れる可能性を鑑みて、食事場面におけるテキストと孤独感の検討に現在取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、本年度中に大規模な調査を実施し、孤独感に関するテキスト及び個人特性データ(パーソナリティ・孤独感等)を収集し、言語特徴解析器を作成することで解析手法を確立する予定であった。どの言語モデルや言語解析方法を用いて孤独感を推定するのかは、非常に本研究の根幹である。したがって、使用するモデルの選択やその習得、環境の構築、及び調査方法のデザインに、想定した以上に時間を要した。取得済みのデータを用いて検討を重ねることで、基本的な方針は決定したが一般的なデータ収集では困難であることも判明した。一連の研究について倫理審査を受け、承認を得た。来年度は進捗がやや遅れていることを鑑みて、大規模調査と実験準備を並行しつつ、計画を推進する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は進捗がやや遅れていることを鑑みて、大規模調査と実験準備を並行しつつ、計画を推進する予定である。前述したよう、解析の基本方針は今年度の研究によって決定したもののデータ収集の方法には工夫が必要であることが判明している。クラウドソーシングを活用することで、数回予備的なデータ収集と解析を行った上で大規模調査を実施し、解析を行なって言語特徴解析器を構築する。同時並行で、心理実験の準備及び実施を行なっていくことで研究を当初予定通り推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
大規模調査の実施が時期が次年度にずれ込んだため、解離が生じた。加えて、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、2022年2月開催の国際学会へ現地参加できず(リモート参加)、海外出張旅費が使用できなかった。調査は今年度実施するため、研究推進のために有効に活用する予定である。また、学会も徐々に現地で開催されるようになってきているが、原油高騰や円安の影響もありコストが当初想定より高騰すると思われるため、バランスされる予定である。
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Research Products
(2 results)