2023 Fiscal Year Annual Research Report
Acceptance of emotion in individual with autism spectrum disorder:its neural substrate and facilitative factors
Project/Area Number |
21K13686
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松崎 泰 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (10806160)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 感情制御 / 再評価 / 受容 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)者は感情制御(ER)に困難さを示す場合が多い。主要なER方略である再評価(感情価を変えるように考え方を変えること)の苦手さは,ASD者において一般的である。この背景として神経基盤レベルでは,ASD者の扁桃体-前頭葉の機能的結合の低下が関連すると指摘されている。近年,受容と呼ばれるER方略が着目されている。受容とは生じた考えや感情を無理に変えず受け入れることである。受容の利点として,再評価よりも容易であることがあげられ,また脳研究からは,一部共通基盤を有しつつ再評価よりも脳活動を必要としないことが示されている。そこで本研究では,社会的な状況におけるASD者の再評価・受容の特徴を定型発達(TD)者との比較で機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて検討した。 研究参加者から解析上除外が必要な者をのぞいたASD者とTD者18名ずつ(IQ、年齢、性別についてマッチング)で解析を行った。ERは再評価と受容に加え、統制条件としてただ画面を見るのみの3条件で行った。結果、大きく以下の3点が明らかとなった。第一に再評価条件においてASD者のERパフォーマンスはTD者のそれより良好でなかったものの、受容条件と視聴条件では2群のパフォーマンスに違いがなかった。第二に、ER中の脳活動で2群に違いはみられなかった。第三に、扁桃体との機能的結合に関して、再評価中にASD者はTD者よりも扁桃体とデフォルトモードネットワークの結合亢進がみられていた。これらの結果から、ASD者は受容においてTD者とパフォーマンスに違いがみられにくいこと、再評価における自己関連情報処理の関与がパフォーマンス低下につながっている可能性があることが示された。一方でASD者の受容に特徴的な脳活動を検出することはできなかった。
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