2021 Fiscal Year Research-status Report
児童期における運動会の社会性発達への影響プロセス―集団社会化理論に基づく検討
Project/Area Number |
21K13687
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
久保田 愛子 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (90832907)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 学校行事 / 社会情緒性 / 運動会 / 教師 / 集団社会化理論 / 学級経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,小学校の運動会における仲間集団体験が児童の社会性の発達に及ぼす影響を検討することを目的としている。最終的に児童を対象とした縦断的な調査を行うことをゴールとしているが,そのような調査を行うためには,各概念の測定ツールである尺度が開発されている必要がある。しかし,小学校の教師がいかなる形で運動会において児童の仲間集団形成や発達を支援しているのか,その支援法に関わる尺度は未だ開発が行われていない。 そのため初年度は,縦断的な調査を行う前段階として,小学校の運動会において仲間集団を発達上,有用に働かせる上での教師の支援法の尺度開発を行った。まず,小学校教員を対象としたインタビュー調査で得られた発話に基づき,運動会での支援に関わる項目を設定した。次に,項目の妥当性を担保するため,現場の学校教員に項目の確認をしてもらい,項目のわかりやすさや内容の妥当性に関する助言を得て,最終的な項目を決定した。 その後,コロナ禍で未だ学校現場を直接訪れることが難しい現状を加味し,オンラインを活用して,小学校教員を対象にした質問紙調査を行った。小学校において担任をしている教員を対象に,運動会における教師の支援法の項目に関する因子分析を行った結果,集団目標達成に関わる因子,児童の活躍や役割発揮に関わる因子,教員主導で引き上げる指導に関わる因子の3つの因子が抽出された。信頼性はいずれも十分であった。また,これらの因子は,学級風土との有意な関連が認められ,特に,集団目標達成に関わる支援は,コロナ禍における運動会の制限状況の影響を省いてもなお,学級風土の各側面と有意に関連していた。この結果から,本研究で開発された尺度が少なくとも教員を対象に実施した際には,一定の妥当性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに教員を対象にした調査を実施でき,開発した尺度も一定の信頼性と妥当性が認められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの感染流行に伴い,運動会を中止したり大幅に縮小している学校もあるため,2年目以降に運動会が通常通り実施されるのか不透明であるという大きな課題がある。また,仮に運動会が実施されていたとしても,コロナ禍で,外部の関与が制限されている学校もあると聞くため,縦断的な調査が実施できるのかも現時点では見通しが立たない。 仮に縦断的な調査が難しいとなった場合には,オンラインを活用して,回顧的に運動会での体験等を振り返る調査を実施することで,部分的に目的の検討を図ることを予定している。
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Research Products
(5 results)