2021 Fiscal Year Research-status Report
教科の文脈が児童・生徒のデータの読み取りや表現に及ぼす影響の研究
Project/Area Number |
21K13688
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 豪 群馬大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (40802905)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教科の文脈 / データの読み取り / 問題解決 / 小学生 / 中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,児童・生徒のデータの読み取りや表現と,各教科の関係を明らかにすることを目的とする。(a)各教科の学習について,児童・生徒が持っている認知,(b)特定の問題に対して,児童・生徒がどのような教科の知識等を喚起しながら解決しようとしているのか,(c)データの読み取りや表現を行う授業を,どのような(単一または複数の)教科をどのように意識づけながら実施することが,より効果的かについて検証を行うことを目的としている。 当該年度は,主に(a)(b)に関して,予備的に大学生を対象としたオンライン調査を行った。過去のPISA調査で出題されたような,棒グラフとそのグラフに関する説明を読み回答する問題について,どのような教科の問題であると判断されるかについて,オンライン調査を行った。 その結果,原題が数学的リテラシーの問題として出題されたものであるにも関わらず,調査対象者のおよそ4割は,「算数・数学の問題である」と判断せず,他教科を選択した。また,およそ6割の対象者が,複数の教科の問題の複合的な問題であると判断した。 データの読み取りや判断に関する問題について,出題者側が特定の教科を意識して出題した問題であっても,当該の教科の問題とは判断されず,他教科の問題と判断される場合があることが示された。また,データの読み取りや判断を求める問題について,複数の教科の知識が喚起されている可能性が示唆された。 今後,問題解決を促進するための条件等について検討をさらに進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初は,小学校~高等学校での研究実施を念頭においていたが,調査予定地域で新型コロナウイルス感染症流行が収束せず,緊急事態宣言も発出されたこと,及び学校内のICT環境が構築中であったことにより,学校内におけるオフラインまたはオンラインでのインタビュー調査等を行うことができなかった。 大学生に対するオンライン調査を実施することで,予備的な知見を得ることができた点では,進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の進捗を活かしつつ,新型コロナウイルス感染症の拡大状況も考慮しながら,(a)各教科の学習について,児童・生徒が持っている認知については,小学校や中学校における質問紙調査を実施することで検討する。(b)特定の問題に対して,児童・生徒がどのような教科の知識等を喚起しながら解決しようとしているのか,についても,小学校や中学校での質問紙調査の実施することで検討する。両者について,感染症流行状況の一定程度の終息のおよび調査対象校の許可が得られれば,インタビュー調査を行うことでも検討する。 また,並行して補助的な調査として,大学生対象の同様の調査実施も検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行が当該年度中に再拡大し,緊急事態宣言等が発出されたことから,国内外における学校における調査や,情報収集のため対面学会出張を行うことができなかった。そのため,主として調査結果分析補助者のための人件費や出張のための旅費に関して,当初の計画よりも使用額が少なかったため。
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