2022 Fiscal Year Research-status Report
学習が成立するまでの過程におけるメタ認知の役割の解明
Project/Area Number |
21K13695
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 剛 日本工業大学, 共通教育学群, 准教授 (50805679)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタ認知 / 学習方略 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画2年目である2022年度は,主に(1)調査によるメタ認知知識が学習方略の使用に与える個人内での相関関係について提案と,(2)実験による既学習判断(judgements of learning)の事後情報効果の知見取得といった研究成果が得られた。 まず(1)について,国際誌に論文として成果発表された。得られた成果の具体的な説明は次のとおりである。学習方略とは認知過程が心理学的な裏付けのある勉強法や学習法である。メタ認知は自身の認知や活動に対する客観的な自己評価であり,メタ認知知識はそのようなメタ認知的な活動に関する(主観的な)知識となる。これまでの学習方略研究では,やる気などの個人差によって,使用する学習方略(質)や学習方略の使用程度(量)について明らかにしてきた。本研究では,種々の学習方略ごとのメタ認知知識(その学習法を知っているか,役立つ/面倒と思うか)を測定することで,学習者一人ひとりが,「ある学習方略について面倒だと思うほど,使用しない」といった個人内での使用過程を明らかにすることができた。 次に(2)については昨年度からのメタ記憶に関する実験の続きである。ヒト何かを学習/記憶する際に行う「後で思い出せるかどうか(既学習判断)」といったメタ認知的な判断について,0%から100%の範囲を制限した検討を行った。今年度は,自分の思う状態から制限されてしまったときと,制限されない通常の判断を直接比較する計画が実行でき,既学習判断と記憶成績の関係性や,記憶成績そのものに与える影響について,新たな知見を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,2年目にメタ記憶の実験の成果発表と,強化学習とメタ認知的な確信度評定に関する実験を実施する予定であった。メタ記憶の成果発表については,実験の改善のために延期しており,より整理された知見が得られたため,本研究の当初目標の達成に必要な過程であったと判断している。強化学習の実験については,メタ記憶の成果も踏まえるため,メタ記憶の実験が整理されるまで延期とした。 メタ記憶の知見については2年目でデータ収集や整理は完了し,その際のノウハウが強化学習の実験にも活かせる。また,強化学習の実験を除いて,新規知見のためのデータ収集や計算論的なアプローチについては当初計画から大きなズレはなく,本計画の根幹部分への大きな支障は出ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画の最終年度である2023年度には,まず,メタ記憶の二つの実験の成果を,二つの学会の大会で公表する。また,予備実験も含めた三つの実験を一つの研究成果として論文としてまとめ,投稿する。論文としてまとめる手続きは,大会発表の活動と並行して行うことができる。また,学習方略とメタ認知知識の関係性については,メタ認知知識の階層性について,論文原稿を2022年度からまとめているため,論文として投稿する。これらの活動は2022年度からすでに実行しているために,2023年度早々に完了し,強化学習の実験と成果発表に尽力する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた成果発表と実験を次年度に延期した。2023年度に論文投稿準備で英文校正費用,掲載費に使用する。また,実験を実施してシステム利用料や謝金で使用する。
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Research Products
(1 results)