2022 Fiscal Year Research-status Report
被影響性に着目した児童期・青年期のパーソナリティ変化の規定因:家族調査による検討
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21K13697
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
川本 哲也 国士舘大学, 文学部, 講師 (40794897)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パーソナリティ / 青年期 / 家族 / 縦断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,本研究が実施している縦断調査の1時点目と2時点目の間にあたる年度であったため,1時点目調査データの分析や,2時点目調査に向けての準備等が主な研究活動となった。1時点目調査では,家庭内の青年期前期の子どもと両親の計3名にパーソナリティ検査に回答を求めていたが,それらの検査から算出されたビッグファイブパーソナリティの得点に関し,家族内の類似性を確認することができた。こちらについては2022年度内の発表はできなかったが,次年度に学会発表の形で報告を行う予定である。また併せて,青年期前期の子どもの第二次性徴の進行度合いとビッグファイブパーソナリティとの関連性も検討できた。1時点目調査のデータのみであるため,横断的な分析にとどまるが,本邦では報告例の少ないテーマであるため,こちらについても次年度に論文化を計画している。 その他,本研究課題に関連する研究結果のアウトプットについては,成人の生活史戦略の個人差を多次元的に測定する尺度であるK-SF-42の邦訳版を,原版でも検討されていなかった測定不変性の検討も含めて作成し,論文化することができた。また乳幼児期の母親の支持的な養育が青年期前期の一般知能を予測することを,交差遅延モデルを用いて検討した論文も採択された。さらに学会発表であるが,青年期前期を中心とした十代の双生児サンプルのデータを用い,情動知能の変化の個人差に対する遺伝と環境の寄与を検討した結果も報告することができた。これらの結果は,本研究課題内容に深くかかわるものであり,研究の進展に寄与する重要な知見に位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題が進行している家族単位での縦断調査は,次年度に2時点目調査が予定されている。2022年度はその準備を順調に進めることができた。また1時点目調査の結果の概要を分析することもでき,縦断調査の進行に関しては問題無く進められている。研究成果の発表に関しては,現状,1時点目調査のデータしか得られていないため,現時点で公表できる結果はほとんどないが,関連する研究知見を積極的に公表できた。以上のことから,本研究課題はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,本研究課題の2時点目の調査を行う予定がある。1時点目調査から2年後にあたり,この調査を年度末に近い2024年1月に実施することになる。研究代表者が研究機関を異動したため,研究課題に関する倫理審査を再度受けるなど,必要な準備を年度前半で行う予定である。その他,本研究課題に関わる論文等も積極的に執筆していく予定である。
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