2021 Fiscal Year Research-status Report
不登校支援における「校内適応指導教室」の機能と課題
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21K13699
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Research Institution | Hamamatsu Gakuin University |
Principal Investigator |
江角 周子 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 講師 (90829194)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不登校 / 教育機会 / 適応指導教室 / 教育支援センター / 学校心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
不登校児童生徒数の増加し続ける中、学びの機会の保障が求められ、そうした動きの中で教育支援センター(通称・以下、適応指導教室)の整備が進められている。適応指導教室には地域間・地域内格差、脱学校的な不登校児童生徒が受け入れ対象外となるという課題があるが、その課題を解決に導く可能性のあるものとして「校内適応指導教室」がある。本研究の目的は、近年校外・校内適応指導教室の整備が急速に進められているA県B市をフィールドとした調査を実施し、校内適応指導教室/別室での不登校児童生徒への支援を比較し、校内適応指導教室設置の機能と課題について明らかにすることである。 本年度は、(1)文献検討を通した校内適応指導教室が果たす機能の展望、(2)B市教育委員会への聞き取り、(3)校外適応指導教室でのフィールドワーク(観察、インタビュー調査)、(4)校内適応指導教室でのフィールドワーク(観察、質問紙調査)を実施した。文献検討について具体的には、不登校支援をめぐって校内適応指導教室が果たすと考えられる機能として、地域における不登校支援キャパシティの拡大、児童生徒と学校とのつながりの維持、教師の負担軽減を図りながら援助機能を高めるという3つの機能が抽出された(江角, 2022)。この成果は、今後、様々な地域における実践の成果や課題を検討する際の基礎的研究として位置づけられる。なお、校内適応指導教室担当者を対象とした質問紙調査では、文献検討で得られた成果をもとに質問項目を設定した。また、本年度のフィールドワークでは、様々なインフォーマントから情報を得ることができた。今後、文献検討の成果を基礎として、本年度得られたデータの分析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、校外適応指導教室におけるフィールドワークは十分に行えていないが、文献検討を通した論文投稿、また、B市教育委員会や校内適応指導教室でのフィールドワークを可能な限り実施することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、文献検討の成果を基礎とし、B市における校内適応指導教室の機能と課題について検討していきたい。特に次年度は、校外・校内適応指導教室との連携に焦点をあてた分析を行う予定である。基本的には本年度収集したデータを分析対象とするが、必要に応じて、校外適応指導教室関係者および校内適応指導教室関係者を対象としたインタビュー調査の実施も検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、校外適応指導教室におけるフィールドワークが十分に行えなかったため次年度使用額が生じた。次年度、校外適応指導教室へのフィールドワークを行い、観察およびインタビュー調査を実施していく予定である。
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