2023 Fiscal Year Research-status Report
不安症に対する曝露法の最適化:自然言語処理解析による治療プロセスと作用機序の検討
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21K13721
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
山口 慶子 東京女子大学, 現代教養学部, 特任准教授 (50793569)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不安症 / 感情症 / 心理療法 / 自然言語処理 / エクスポージャー療法 / 作用機序 / アセスメント / 感情調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、曝露療法(エクスポージャー療法,exposure therapy)の効果が発揮される必須の要素を解明するための研究を、自然言語処理を用いて実施することを目的とする。 本年度は、前年度に見直した研究計画に基づき研究を行った。第一に、エクスポージャー療法の研究動向を把握して検討課題を整理するために、解析対象とする論文要旨のテキストデータを選定した上で、トピックモデルを用いて解析を実施し、複数の研究者で解釈可能性について検討した。また、これらの研究成果を学会シンポジウムでの発表を通じて公表し、論文執筆を進めた。第二に、当初予想し得なかった研究体制の持続困難が生じる等の事情により、研究実施体制の整備および解析手法の再検討を行っている。その過程で、自然言語処理を専門とする複数の研究者と打ち合わせを行い、解析手法に関する情報を得て、解析の進め方を検討した。第三に、解析対象とするデータの選定を研究者二名が独立して実施し、評定一致度算出まで完了した。以上の研究と並行して、第四に、不安へのエクスポージャー療法の治療プロセスや作用機序の理論的検討に関連し、エクスポージャーの原則と実践に関する翻訳に携わった書籍が出版された(伊藤他,2023)。また、不安症に対するエクスポージャーの最適化の検討においてはアセスメントも重要であり、これまで診断横断的な認知行動療法の臨床試験において研究チームで構築してきた査定法についてまとめ、書籍として公表した(山口他,2023)。第五に、前年度に続き、作用機序の一部を説明すると考えられる感情調整の観点から、既存の大規模研究データを用いて二次解析を進めた。また、国内の学会シンポジウムで感情に働きかけるアプローチについて参加者と意見交換することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既述の通り、研究体制の持続困難が生じる等の事情により、研究実施体制の整備および解析手法の再検討作業に時間を要した。併せて論文の執筆が遅れており、来年度の公表を目指す。一方、理論的検討やアセスメント、作用機序の検討においては順調な進展があった。そのため、研究全体としてやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、研究実施体制を整備する。解析対象データの選定は既に終えているため、今後解析を実施し、論文公表を行う。また、作用機序の検討として行ってきている大規模研究データを用いた二次解析について、学会等で成果を公表する。
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Causes of Carryover |
既述の通り、研究全体に遅れが生じたため、資料整理や解析に必要な諸経費(主に人件費・謝金)の支出が当初の予定より少なかった。加えて、論文公表のための英文校正費等の支出がなかった。来年度は、論文公表のための英文校正費や成果発表の旅費、データ解析や資料整理に係る研究補助の人件費として支出を予定している。
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