2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of an Application for Smartphones Using a Cognitive Bias Modification: A Preliminary Trial
Project/Area Number |
21K13733
|
Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
泉水 紀彦 埼玉学園大学, 人間学部, 講師 (60754463)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 認知バイアス / 解釈バイアス / 解釈バイアス修正 / 認知バイアス修正 / 社交不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
社交不安は,現実あるいは想像上の社会的状況において,他者からの評価に直面したり,またそれを予測することから生じる不安状態であり,強い不安感により日常生活に支障がでることもある。近年,社交不安者に特徴的な認知バイアスの改善を目的とした新しい介入法である認知バイアス修正(CBM:Cognitive Bias Modification)アプローチが提唱されている。解釈バイアスに修正に焦点を当てたアプローチは,解釈バイアス修正(CBM-I:Cognitive Bias Modification for Interpretation)と呼ばれ,具体的には,結末があいまいな社交場面のシナリオを呈示し,それを比較的ポジティブに解釈する課題を繰り返し行い,状況をネガティブに解釈する傾向を低減させる手法である。欧米では多くの実証研究が行われているが,日本では,社交不安を対象としたCBM-Iを実施した例は確認されていないため,著者は大学生96名を対象にCBM-Iの効果検証を行った(泉水・寺島, 2019)。その結果,CBM-Iで肯定的な解釈を促すことにより,社交不安症状,否定的な解釈に一定程度の弱い低減効果があることが明らかになった。この弱い低減効果は,CBM-Iのメタ分析研究でも報告されており,先行研究で指摘された問題点を踏まえると,CBM-Iの効果を高めるためには,①対象の選定,②フィードバックの表示,③不安症状や認知バイアス傾向の低減や情動的な脆弱性を目標変数とした介入法,④アクセシビリティの高い訓練媒体(スマートフォン用アプリケーション),⑤実施手続きの改善(訓練内容の明確化,進捗状況の表示,個人にカスタマイズした課題提示)が必要であると考えられる。 令和3年度は,社交不安に効果的なCBM-Iについて,主に文献研究を行い,研究論文にまとめた(泉水・寺島, 2021)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は,社交不安に効果的なCBM-Iについて,主に文献研究を行い,研究論文にまとめた(泉水・寺島, 2021)。また,CBM-Iに,研究目的の明確化(研究目的の理解を促す動画教材の作成),課題遂行を容易にするためにシナリオ刺激への音声の追加,認知変容面への効果を測定するための測定変数(認知的柔軟性)の追加を行った。令和4年度の前半に,改修したCBM-Iの効果検討を実施する予定である。令和4年度の後半から,CBM-Iアプリケーションの開発に着手する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
改修したCBM-Iの効果研究は,大学生100名に実施する予定である。参加者をランダムに介入群(50名)と待機群(50名)に振り分け,1週間前後の社交不安症状(LSAS),解釈バイアス,認知的柔軟性などの変化を比較する。特に,元々の社交不安症状が強い人(LSAS>44)を分析対象とし,CBM-Iの有効性について検討を行う。またCBM-Iアプリの全体の構成,参加者にカスタマイズした環境設定条件(社交不安傾向,関心のある場面),個人にカスタマイズするための刺激の追加,各課題のフィードバックや進捗状況の表示の仕方,毎日の気分状態チェックの手法とフィードバックの表示の仕方等の使用をまとめる。 令和4年度,令和5年度はアプリケーション開発を行い,動作検証を実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウィルスの感染状況により,遠方への学会参加をできず,旅費が発生しなかった。また先行研究のレビューとCBM-Iシステムの改修を優先して行ったため,機器の購入や参加者への謝礼が発生しなかった。次年度使用額で,令和4年度前半に,参加者への謝礼の支払いを予定している。
(使用計画)物品費として,iOS端末(ipad)とアンドロイド端末(LAVIE Tab)のために,100,000円使用する予定である。旅費として,研究成果を発表するために,100,000円使用する予定である。人件費・謝金として,アプリ開発に500,000円,プログラム参加への謝金に100.000円使用する予定である。
|