2021 Fiscal Year Research-status Report
犯罪少年の更生に寄り添う―内観療法からカタルシスへ導く過程の追跡と有効性の検証
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21K13739
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Research Institution | St. Catherine University |
Principal Investigator |
田村 優佳 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 助教 (70627463)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自らの命の尊重 / 他者の存在の尊重 / 他者とかかわる感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究課題は、心理教育の一環として集中内観法を伝統的・計画的に実施している矯正処遇施設の協力の下、犯罪少年の心の中に抑圧された感情の開放について、集中内観法とロールレタリングの併用による心理的変化や効果という観点から検討することであった。具体的には、1. 実施前後では、自己の内面の問題についての気づきが変化しているのか検討する。2. 自他への理解や受容が深まるのか検討する。3. カタルシス効果について検討する。 本年度は、内観前、内観直後、効果の継続性を調べるために内観終了1か月後の3回にわたる心理検査(バウムテスト、PFスタディ)、アンケート調査(非行に係るリスクやレジリエンスを測定する項目)、インタビュー調査(集中内観の感想、自己理解の深まりなど)、ロールレタリングのデータを収集した。 本年度の研究成果としては、文献研究を通して、藤原直達神父の研究論文『藤原直達(2014).「内観・称名・呼吸」から「ネープシス・イエスの御名の祈り・聖霊」 キリスト教文化研究所年報,36,35-59.』に共鳴し、その内容とキリスト教信仰者への内観について発表した。 また、事例研究を通して、他者との関わりの中で生きてきた意味を見出し、命を実感として捉え、改善されていった少年の事例を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨今のコロナ禍の状況を鑑みながらも、事例を集積することができたことに感謝している。また藤原神父の論文を通して、内観について新たな視点から知識を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、集中内観およびロールレタリング実施前後の事例を集積する。得られたデータは、非行少年の心理検査や非行臨床の有識者らとともに分析を行う。
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Causes of Carryover |
研究発表にかかる経費を見込んでいたが、成果を公表するところまで至らなかったため使用することができなかった。本年度使用できなかった助成金は、研究成果の発表に際し必要となる。
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