2021 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症における共同注視障害の心理学的基盤と促進要因の解明
Project/Area Number |
21K13760
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
林 小百合 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, リサーチフェロー (40885753)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達障害 / 自閉症スペクトラム症 / 注意欠如・多動症 / 顔表情 / 社会的報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害児者における社会認知機能の障害とその神経基盤について、神経心理学的手法を用いた検討を進めている。本年度は検査セットを作成し、データ収集に努めた。 社会認知機能を計測する心理実験課題、知能検査、及び、問題行動や社交不安の程度などの臨床症状の評価項目を含む検査セットを作成した。研究協力者とともに、小児・成人それぞれに応じたセットを作成し、幅広い年齢層(6-55歳)を計測できる体制を整えた。 データ収集は、定型発達成人を中心に実施した。定型発達成人79名を対象に実験室にて計測を実施した。視線手がかり課題時の行動成績に表情が与える効果の検証に参画した。また、社会的な報酬が認知機能に与える影響を評価した。統計解析によって、先行研究と同様に、視線や社会的報酬の効果が確認された。表情や報酬の確実性による影響も検討された。また、発達障害においては社会的情報に対する認知のゆがみを持つことが多く報告されていることに関連し、既存のデータを用いて、他者動作から一部の社会的情報を取得する神経心理学的メカニズムを脳波事象関連電位から明らかにした。小児や、発達障害児者(自閉症スペクトラム症、注意欠如多動症、及び両疾患の併存例)を対象としたデータ収集にも着手し、検討を進めている。現段階では、成人のADHD者では定型発達成人と比較して、社会的報酬の効果が減弱している可能性を示唆するデータが得られている。今後の詳細な検討に向け、感染症の拡大などに十分な配慮をしつつ、引き続きデータ収集に努める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定型発達児・発達障害児を対象とした検査セットを作成するという目標を達成し、データ収集を開始できた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従い、引き続きデータ収集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
他プロジェクトと共同で進めることが可能であったため、データ収集に係る支出を抑えることができた。
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Research Products
(3 results)