2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K13761
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
百合草 寿哉 東北大学, 理学研究科, JSPS特別研究員(PD) (00870148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 遺伝的多元環 / gベクトル扇 / 団代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はgベクトル扇を持つ多元環(g-tame多元環)の研究であり、本年度、古典的な対象である遺伝的多元環がg-tameになる必要十分条件を与えた。そのために、団代数理論の研究を取り入れた。 多元環と同様、団代数はgベクトル扇というユークリッド空間上の扇を不変量として持つ。歪対称団代数は圏化によって、あるヤコビ多元環の表現と深い関係があり、その結果それらのgベクトル扇が一致することが知られている。特に、歪対称団代数が非輪状である場合、対応するヤコビ多元環は非輪状なクイバーの道多元環(非輪状道多元環)である。一方、全ての遺伝的多元環は道多元環と森田同値になるため、特にgベクトル扇が一致する。 本年度に研究者は、無限変異型団代数のgベクトル扇が稠密にはならないことを示した。即ち、gベクトル扇が稠密となる団代数は有限変異型に限られる。有限変異型団代数はFelikson-Shapiro-Tumarkin (2012) によって分類されており、非輪状になるのは、有限型とアファイン型に限られる。それらのgベクトル扇は稠密になることがReading (2014) により与えられており、研究者の結果と合わせると、非輪状団代数のgベクトル扇が稠密であることと、その団代数が有限型またはアファイン型であることが同値であることがわかる。上記の多元環との対応により、非輪状クイバーQの道多元環がg-tameになることと、クイバーQがディンキン型またはアファイン型であることが同値になり、さらに森田同値を通して、g-tame遺伝的多元環の分類が得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
団代数を経由することで、特定の場合(遺伝的多元環)であるが、g-tame多元環の新たな分類を与えたことは、一つの進展といえる。 一方で、Covid-19の影響で出張がなくなり、研究集会やセミナーなども全てオンラインで行われたことは研究の発展を妨げていた。オンラインでも議論するようにはなってきたが、まだ対面の時ほどの議論の時間や、研究の芽を育てる雑談の機会を十分に得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最初の予定通り、Tame多元環の研究をg-tame多元環の研究に適応していく。 一方、団代数理論におけるgベクトル扇の研究が近年盛んに行われており、その情報収集を積極的に行う。そして圏化を通して多元環のgベクトル扇の研究に適用したり、新たなアイデアを考察する。 また、Covid-19の影響次第ではあるが、まずは対面で議論ができるような機会を作る。一方で、ネットをもっと上手く活用し、オンラインで対面と同じような議論ができる環境作りも同時に進めていく。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響で予定していた出張が全てなくなったため、次年度に繰り越しをしました。情勢が落ち着いたら、出張を予定していた共同研究、研究集会、セミナーを行うために使用します。まだ出張が難しそうであれば、それらを補うため、オンラインでのセミナーや勉強会を開催し、情報収集を行うと同時に、議論する場を作っていきます。そのためにも予算を使用する予定です。
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Research Products
(2 results)