2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13768
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
長岡 大 学習院大学, 理学部, 助教 (90899288)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 代数幾何学 / log del Pezzo曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、本年度はlog del Pezzo曲面の幾何を中心に調べた。 コンパクト化の研究では境界因子としてlog del Pezzo曲面が現れるが、境界因子の幾何および位相的性質はコンパクト化の分類に不可欠であるため、昨年度からlog del Pezzo曲面を研究している。複素数体上ではKeel-McKernanにより、Picard数1のlog del Pezzo曲面の大まかな分類がなされた。また近年、Laciniおよび長岡により、標数5以上の代数閉体上でも同様の分類がなされ、さらにWitt環に対数的持ち上げ不可能なものの双正則同型類が分類された。一方で標数2または3の代数閉体上においては、未だ分類がなされていない。 彼らの手法ではtigerと呼ばれるlog del Pezzo曲面の上にある因子を用いて、Sarkisov linkを出力することで大まかな分類が与えられる。しかし、一般にlog del Pezzo曲面がtigerを持つとは限らないため、このような例外は個別に分類する必要があった。 そこで本年度は、標数2または3の代数閉体上において、tigerを持たないPicard数1のlog del Pezzo曲面の候補を分類した。系として、任意標数において、代数閉体を固定するごとに、tigerを持たないPicard数1のlog del Pezzo曲面の変形同値類は高々有限個であることを証明した。一方で、標数5の場合と比べると、標数2,3においてはBogomolov型の評価に矛盾しない特異点を持つlog del Pezzo曲面が多数確認されている。そのためtigerを持たないlog del Pezzo曲面がいつ対数的持ち上げ不可能であるかを特定するのは困難であり、今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に行なった標数5の代数閉体上のlog del Pezzo曲面の研究の場合と比べると、Witt環への対数的持ち上げ可能性に関する結果が未だ得られていないことは懸念点である。
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Strategy for Future Research Activity |
標数2,3の代数閉体上のtigerを持つlog del Pezzo曲面の分類に取り組む。 また、今までの研究を生かして、Picard数1のQ-Fano 3-foldによる3次元アフィンホモロジー胞体のコンパクト化の分類に取り組む。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、想定していたよりも成果発表のための出張や研究セミナーの企画ができず、旅費や人件費を執行できなかった。 翌年度は、コロナ禍の収束の折を見て、成果発表のための出張や研究セミナーの企画を行なう予定である。
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